僕の青春 | ナノ
要と一緒にぼんやりと廊下から外を覗いていた。なんか、最近よく祐希と間違えられること多いなあ、って要に言うと、顔が同じだからな、って笑われた。ちょっと、普通の返事すぎてつまんないんですけど。要にまた言えば、俺に何を求めてるんだ、って怒られた。ほんともう、小さい時から怒りんぼなんだから。カルシウム足りてるの?グダグダと会話をしていると、また荷物を持った松原さんが廊下を歩いていた。目が合うと、こっちに近寄ってきてどきりと心臓が跳ねる。


「あ、あの、浅羽くん・・・」

「・・・俺、祐希じゃないですよ」

「え?あ、はい。お、お兄さんの方に、用が、ある・・・ので、」


松原さんはそう言うと、酒井先生が呼んでました、と言うとぺこりと頭を下げてまた廊下を歩いて自分のクラスに入って行った。ぼーっとその方向を見たままでいると、要が松原すげえな、と言った。何がすごいの、と要を見ると悠太と祐希を間違えてなかっただろ、って言って松原さんのクラスを見た。


「・・・祐希とよく話すからじゃないの」

「は?あんまり話してないだろ。それに、悠太とかによく話しかける女子でさえ間違えるんだぞ?」


あと松原とよく話してるのは春だろ、と言ってまた空を見た。きゅう、となった心臓を誤魔化すように、要はなんで松原さんのこと知ってるの、と返した。委員会が一緒なんだよ、と言って笑っていた。委員会が一緒なくらいで仲良くなれるとか・・・。しかも、あの要が。世の中分からないね、と要に言うと今俺のことバカにしただろ、と言った。そんな、自意識過剰ですよ。ウソつくな、と言って笑った。


「まあいいや。俺、酒井先生の所行ってくる」

「あ、ヒマだし一緒に行くわ」

「なに要、寂しがりや?」

「違うっつの」


小さなことが嬉しくて
(先生、何の用ですか)
(おお悪いな浅羽。放課後、これ整理してくれるか)
(・・・・・・分かりました)
(まあ頑張れよ、悠太)


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