走れ青春 | ナノ
松岡くんと一緒に先生のところへ行くと、忘れてるのかと思った、と言って、授業で使うスクリーンとかを持って行ってほしいと言って、それを指差した。
最初、私がスクリーンを持とうとしたら、松岡くんが僕が重いのを持ちますと言って、私に軽いものしか入ってないダンボールを渡して来た。


「ごめんね、松岡くんに任せてばかり…」

「女の子には重いですから、いいんですよ。…それと」

「うん?」

「あの、良かったら、春って呼んでもらえた方が…」


ニッコリと笑ってそう言った。…いいのかな、私が下の名前で呼んじゃっても。どうしようか迷っていると、松岡くんじゃ他人行儀みたいだから、と言った。


「じゃあ、しゅ、春くんって、呼ばせて、もらい…ます」

「はい、ぜひ……あ、悠太くん、祐希くん」


ああ、なんか照れ臭い…。真っ赤であろう顔を隠すように俯いていると、まつ…春くんが、浅羽くんたちの名前を呼んだ。反射的に心臓が跳ねてしまった私。


「……持ちますよ」

「え、そ、そんな悪いから…!」

「大丈夫です」


まさか、浅羽祐希くんに声を掛けられるなんて思ってませんでした。私の持っていたダンボールを取った浅羽くん。


「ご、ごめんね、浅羽くん…」

「……どっちも浅羽です」

「あ、えと、」


そうだった、浅羽くんって言ってもどっちにも言ってることになってるんだった。どうしよう…と迷っていると、祐希でいいですよ、と言われて、その後に俺のことも悠太でいいよと言われた。


「…あ、じゃあ、次から…」


目を泳がせて言うと、浅羽く…祐希くんはどこに置きますか、と言って5組のクラスに入って行って、私も着いて行ってここで、と言うと荷物を置いて、じゃあ、と言って春くんとあさ、…悠太くんに手を振って最後に私と目を合わせて手を振ったから、小さく手を振ると、自分のクラスへと戻って行った。

きっかけが一つ
(……祐希と仲良かったの?)
(え、いや、中学の時とかに少ししか…)
(…そうですか)
(は、い)

1128