走れ青春 | ナノ
朝、学校に登校すると黒板には私と松岡くんの名前が書いてあった。どうして名前が書いてあるかというと、今日の当番らしいです。当番、当番…、と呟きながら自分の席へと向かう。
机に荷物を置いたとほぼ同時ぐらいにクラスがざわざわしだして、きっと浅羽くんが来たんだろうな、と思いながら席に座って扉の方へと目を向けた。


「…あ、松原さんおはよう」

「おはようございます」

「お、おはよう…っ」


よし、まず挨拶はクリアできました。ふぅと一呼吸した時、松岡くんが私の近くに立っていて、当番一緒ですねと笑った。松岡くんの笑顔は本当に癒しで、緊張という言葉よりも笑顔が自然と出て、私もよろしくねと言って笑った。挨拶が終わると松岡くんは自分の席へと戻り、浅羽くんと私だけになる。
そこで浅羽くんが突然、あ、と声を漏らした。気になって横を見ると私の方を見て、古典の教科書忘れたと言った。


「お、弟さんは…?」

「祐希のクラス、今日はないみたいなんだよね」

「そ、うなんですか…」


浅羽くんでも、そんな失敗するんだ。とちょっと驚き半分、緊張半分状態の私。
そんな私は気が回らない、いや、言えなかったのだけど、浅羽くんは私に古典の授業の時に見せて欲しいと頼んできた。それはつまり、机をくっつけるということで、すぐ隣に浅羽くんがいるということで、下手すれば私の汚い字を見られてしまうということになる。
私の友達に借りてこようか、と聞いてみたけどそれは悪いしと浅羽くんは言った。そんなことないです。きっと浅羽くんが借りると言えば、どの女子も貸してくれますよ。なんて、一人心の中で思った。


「それとも、迷惑だった…とか?」

「えっ!そ、そんなことない…っです、」

「じゃあ、見せて…下さい」


きみと話した朝
(は、はい…。もちろん、)
(ありがとう)
(い、いえっ。そんな、全然…)
(俺で良かったら、分からないところ教えるからね)

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