走れ青春 | ナノ
日が暮れ始めて、空が赤くなったころやっと気持ちが落ち着いた。
私がまだ泣いているとき祐希くんは階段のところに座るとその隣をぽんぽんと叩いたから、そこに座った。私が泣きやむまで待っていてくれて、どうしたのなんて聞いてこなくて黙って隣で座っている、それが一番心地良くて…。
もう大丈夫だよ、と言うと私の目の下を触って冷やさないと腫れますよと言った。


「うん、そうだね。家帰ったら…冷やす、ね」

「じゃあ、帰りましょうか」

「…うん」


何で泣いたんだろう。悠太くんと高橋さんを見たから?……じゃあ、なんで見ただけで泣くの?


「松原さんは…」

「は、い」

「松原さんは、悠太が好きですか」

「…、え?」


祐希くんの突然の言葉に足が止まって、ドクリと心臓が跳ねた。


「悠太と、高橋…さん?を見て、泣いたんですよね」

「え、ち…ちが…」


違う。きっと違う。好き…、とか自体よく分からないし…。そう言うと、祐希くんは足を止めて振り返り言った。


「好きなんて分からなくても、その人と離れたくないって思ったら、」


それが恋なんじゃないんですか?



これが恋というもの
(ごまかさないで)(自分に正直になれば)(きっと見えてきますよ)

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