走れ青春 | ナノ
眠れなかった。昨日の悠太くんと高橋さんのことが頭の中をぐるぐると回っていて、どうして忘れられないのかも分からない。眠たい目を擦りながら教室に行くと、既に二人のことが広がっていて、悠太くんが告白を受けたということまで。

…ああ、なんだろう。なんだか、すごく苦しい。


「香菜ちゃんおはようございます」

「おはよう、松原さん」

「おはようございます」

「…お、おはよう」


顔が見れずに俯いたまま返すと、突然祐希くんが目の前にしゃがんで私の目の下を親指でなぞった。その突然の行為に驚いて固まったままでいると、隈が出来てますと言われた。


「あ、う、うん…。昨日勉強してたから、かな?」

「……そうですか」

「勉強なんて偉いですね」

「そんなことないよ…」


勉強なんて嘘だし、私全然偉くない…。

ガラリとドアが開くと、先生が入ってきて祐希くんは自分のクラスへと戻って行った。今日のホームルームの話はひとつも耳に入ってこなくて、ぼーっと空を見ていた。


青くて、すごくキレイで、…余計に悲しくなるのはなんでだろう。


空は澄んでいて
(悲しさを)(余計に煽らせた)

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