Rainbow | ナノ
「私もプールが良かったなぁ…」

「そう、だね」


体育の授業。女子はバレーです。同じチームの高橋さんとお喋り中。高橋さん可愛いなぁ、なんて思いながら、今頃プールで優雅に泳いでる悠太くんを想像した。暑いから、プールが良かった。


「鈴井さん、次だよ」


高橋さんに声を掛けてもらい、急いでコートに入って意気込む。よーし、ボール取るぞー。ぼん、と音と一緒にボールが高く飛び私たちのコートに飛んできた。


***


「杞紗」

「あ、祐希くん。どうしたの?」

「アプローチを受けてます、助けて下さい」


くるくると私の髪の毛で遊んで、真面目な顔で言った。じゃあ受け止めたら?と言えば、むっと嫌な顔をされて、俺が他の子のアプローチを受け止めても何にも思わないの、と言われる。そんなことないよ、と急いで否定したのに拗ねて何処かへ消えてしまった。
その後に、教室では疲れた様子の悠太くんと要くんが扉の所に立っていた。


「プール、疲れたの?」

「…違うよ。ちょっと、ね」

「ああ。誤解がちょっと、な」


言葉を濁しながら二人は溜め息をついた。奥から春ちゃんが出て来て、春ちゃんも二人の様子を心配していた。あ、俺プールだわ、と急いで教室に戻っていく要くんを見送って、私たちも次の授業の準備をした。

水と空と夏の始まり
(暑い…)
(俺は涼しいけどね)
(ズルい、プール)
(でも、次は女子ですよねっ)

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