Rainbow | ナノ
「おーい、いつもより一人多く感じるのは気のせいかー?」

「…き、気のせいよ」

「なわけねーだろ」


目の前で繰り広げられる要くんと茉咲ちゃんのやり取りが可笑しくて笑ってると、ふと茉咲ちゃんと目があった。首を傾げてみれば、ふいと顔を背けられて、また要くんと言い合いをしたかと思えば顔を真っ赤にして帰って行った。


「カゼでもひいてるのかな…」

「あー、恋の病とか?」


恋の病?首を傾げて、そんな病気あるんだと呟けば要くんが、お前も病院行ってこいって言われた。えっと驚く私を置いて、話は進んでいく。茉咲ちゃんの話から、祐希くんの話になっていて。


「だって祐希はテスト当日の朝に、俺のノート見るぐらいだし」

「…え、え!それだけで追試回避出来てるの?」

「まあ」

「すごい!じゃあさ、勉強すれば…」

「追試回避出来れば別に」


もったいない、と言うと続けて春ちゃんが、そうですよ、と言ったけれど同じ言葉が返ってきた。隣では苛ついた顔をする要くんがいて、要みたいな人生だと思うと…と言った。要くんみたいになるの嫌なのかな?社長さんになれるかもしれないのに。頭を悩ませていると、悠太くんに頭を撫でられて、杞紗はそれでいいよ、なんて言われた。


「あっ、予鈴だ」

「さっさと戻んぞー」


先を行く要くんの後を急いで追い掛ける。途中で躓いてこけそうになった時、咄嗟に春ちゃんが手を握ってくれて、なんとか免れた。ありがとう、と笑って手はそのままで駆け下りた。


手を伸ばせばそこにいた
(…なんで手繋いでるの)
(あ、うん、えっとね)
(春だけズルい)
(えっ、いや、祐希くん?)

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