プロムナード | ナノ


重たい瞼に、昨日のことが夢のように感じたけれど、今、目の前で起こっていることに現実だったんだ…とガックリと肩を落とした。「白髪の女いるか」と昼休み早々現れた福井先輩は、長身の紫色の男の子と話していた。"しらが"って!"しらが"って言った!白髪じゃないし、白銀寄りだって何回も言っているのに改めてくれない福井先輩。そーっと教室から逃げ出そうとしたら、前の扉からは宮地先輩が待ち構えていてあっけなく捕まった。

「何テメェ逃げようとしてんだよ、あ?」

宮地先輩の迫力に逃げたくても腕を掴まれてて逃げられなくて、頼みの綱の大我くんに目を向けたけど福井先輩と楽しそうに話していた。さあ行こうか、と笑顔という威圧感を放つ宮地先輩に肩を掴まれたまま教室を出ると、和成くんとあと緑頭の子とバッタリ。後ろでは、ゲッと宮地先輩の声。

「あー!宮地サンじゃないですかー!何の用ですか、一年の教室に!」
「お前に用はねぇよ轢くぞ、どけ」
「そんなツレナイー、…って、あれ?ひまりちゃんどったの、宮地サンと仲良かったの?」
「黙れ高尾、うるさい」
「そんな真ちゃんまでー!」

え、むしろ和成くんが宮地先輩と知り合いなの…?ていうか、え、後ろの緑の彼も宮地先輩と知り合いみたいで、正直、大きい二人が並ぶと迫力がある。「コイツ、中学ン時の俺の後輩だから」とコツンと頭を小突かれた。正直、小突くの域を超えてド突くが合うんだけどね。
そしたら今度は後ろから大我くんと福井先輩が来て、さっさと行くぞ、と私の頭をぐしゃぐしゃにして先を歩いた。もう、福井先輩のそれ嫌なんですけど!って追いかけようとしたらグイッと宮地先輩に引っ張られて進めない。

「お前一人で突っ走んな、こけんぞ」
「こけません!」
「はいはい」

宮地先輩は私の言葉なんて聞く様子が全くなくて、肩を掴まれたままどんどん先に行くから従う以外に他がない。っていうか、これ恥ずかしいんです!





連れられるまま、昨日の学校案内で見た食堂に連れて来られて、そこには辰也くんもいたし、中学時代によく一緒にいた先輩たちも揃っていた。食堂の豪華さにも、先輩たちと久々の再開にも嬉しくて駆け出して、まず最初にリコ先輩に飛びついたら先輩は優しく受け止めてくれた。

「リ、リコ先輩…!」
「久しぶりね…って言っても三か月程度かしら」
「三か月も会えなかったんですよ!」

相変わらず優しいリコ先輩に、さっきまで宮地先輩にいろいろイヤミを言われてたけどそんなのも全部吹っ飛んだ。いつまでも抱き着いてたらバシンッと日向先輩に頭を叩かれて引き剥がされた。

0803