プロムナード | ナノ


店の外で待ってくれていた二人に謝って足を進める。
さっき黄色の彼にも緑の彼にも失礼な態度を取ってしまった…。黄色の彼をまた怒らせるのが怖かったからつい…なんてのは理由にならないよなぁ。
頭を悩ませていると和成くんが頭を撫でて、あいつらの事は気にしなくていいよ、とニッコリ歯を見せて笑う。

「さっきの見てたの?」
「ん、見えたが正しいかな」
「そっか、…本当に大丈夫かなぁ」
「大丈夫大丈夫!そんなん気にするような奴らじゃねーし」

ニコニコ笑ってくれる和成くんに安心して私も笑うと同時に和くんとは道が別れてバイバイをした。
その横で睨むように私を見降ろしてくる大我くんに首を傾げてどうしたの?と尋ねると、何でもねーよ、とバシンと頭を叩かれてしまった。ズキズキと痛む頭を押さえて大我くんを見上げてバカ!と大きな声を上げると、今度は大我くんよりも少し小さな手が私の頭を叩くと同時にお前もバカだけどな!と言われて。
聞き覚えのある声に恐る恐る振り返ると、中学時代に散々私を苛めてくれた福井先輩と、他にも顔見知りの先輩が数人いた。

「ふ、福井先輩…お、お久ぶりです…」
「何だよ、その嫌そうな顔は」

私の明らかな表情に福井先輩はぐりぐりと頭を撫でまわして来て髪の毛がぐしゃぐしゃに崩れる。やめてください、と一生懸命言っても当の本人はニコニコ笑ってるし…。別にそこまで嫌なわけじゃないけど、大好きな笠松先輩に見られてるって思うと恥ずかしい。
大我くんは基本関わらないようにするタイプだし、いつも助けてくれる辰也くんはいないし…。

「おい、福井そろそろやめてあげろよ」
「ん?……うっわ!お前頭ぐしゃぐしゃだぞ!」
「先輩のせいじゃないですか…!笑わないでください!」

大笑いする福井先輩に怒っても聞く耳を持っていなくて、悔しくて仕方なかったこの気持ちを抑えるために福井先輩に止めるように言ってくれた笠松先輩に泣きついた。そしたら、ぎこちないけれど優しい手つきで頭を撫でられて、それが嬉しくてぎゅっと腕の力を強くして抱き着くと隣りにいた宮地先輩に頭を叩かれた。
私の周りって暴力で解決するような人が多すぎる!

「いつまで笠松にくっついてんだよ、牽くぞ」
「痛い…」

早々と死んでいく私の脳細胞。だめだ、こんな人達といたら早死にしてしまう。痛む頭をそっと抑えてそろそろと逃げ出す。
…逃げ出そうとした。なのに、がっしりと肩を掴まれて振り返ればにっこりと微笑む森山先輩に逃げられないことを察した。