プロムナード | ナノ


真新しい制服に身を包めば、一気に高校生になるという自覚が湧いてくる。一つ上の幼なじみと、また同じ学校に通えるのがとても嬉しくて、ドキドキと胸が高鳴る。幼なじみだけじゃなく、先輩たちにも会える。
私の隣を歩く大我くんも目を血走らせて、緊張している様子で、少しだけ面白くて笑ってしまった。

「何笑ってんだよ」
「なんでもー」
「おい、ひまり!」

普段よりも目付きの悪い大我くんから逃げるように、小走りをすれば前を見ていなかったせいで人にぶつかってしまった。急いで謝ろうと、尻もちをついた腰を上げて頭を下げる。けれど、相手は特に気にする様子もなくて、何か騒いでいる様子で。
よく見てみれば、女の人たちの人だかりが出来ていて。
大丈夫かよ、と後から来た大我くんに頷く。こんな所で邪魔くせぇな。その人だかりを見て大我くんは大きな溜息をついた。確かに、みんな迷惑しているみたいで。中心にいる人は誰なんだろう。

「新一年生はここでクラスの確認をしてください!」

上級生の言葉に従って、クラス表を順番に見ていく。最後のクラスで、大我くんの名前を見つけて、私の名前を見つけて。中学三年間、ずっと同じクラスだった大我くんと高校まで一緒のクラスに。少し心配していた事がスっと消えて安心した。

体育館に入る時に、名簿にある名前を言って席に着く。大我くんと私の間には複数人がいるはずなんだけど…。それでも、何か事情があるみたいで大我くんの隣りに座ることになる。間の人たちはどうしたんだろう。

***

式が始まって、校長先生の話や市長さんの代理の人の話を曖昧に聞き流して。ちらりと隣りの大我くんを見てみれば、ぐっすりと眠っていた。起こそうとした時、生徒会長の挨拶という司会の言葉で体育館中がざわざわと騒ぎ出す。

「入学おめでとうございます」

よく通る声がマイクを通して響き渡る。そっと顔を上げれば、赤色の髪を持つ人だ。首に結ばれたネクタイは、私たち一年生と同じ色をしている。…同じ色?ふと不思議に思って首を傾げる。
黒をベースに赤の線が複数入っているそのネクタイは、私や大我くん、他の一年生たちがつけるネクタイと同じもので。その後ろに並んでいる生徒会執行部の人たちも複数人いる。傍には三年生の青色のネクタイをした人もいるけれど。

「生徒会長、一年五組赤司征十郎」

最後に生徒会長は自分の名前を言って、ステージを降りていく。やっぱり、一年生なんだという驚きと一緒に、同じクラスだと二重に驚いた。これからの高校生活が少し楽しいような、緊張するような…なんとも言えない気持ちになった。