BIRTHDAY | ナノ
クリスマスイブは、中学時代から付き合っている二歳年下のリョーマの誕生日。本当なら朝から会ってずっと一緒にいたかったんだけど、何しろ私は社会人で彼はまだ大学生。時間なんてそうそう合わない。
だから、今私は彼が帰ってくるまでリョーマの家の前でずっと待っている。正直すごく寒いけど、リョーマに会えることを思うと寒さも平気って思えて、恋って本当にすごいと思う。

「何、してんの」
「あ、誕生日おめでとう」

テニスバッグを肩にしたリョーマが帰って来た途端、驚いた顔で私の顔をじっと見つめた。そんな彼にプレゼントを差し出したけど、受け取らずに私の頬を触るとムッとした顔をして家の中に無理やり入れられて。何を聞いても無言で、そのままお風呂場まで押し込められる。

「何、どうしたの?」
「体冷たいじゃん。何時間外にいたの」
「えっ、と…30分…かな」
「…」
「に、二時間です…」

鋭い目つきで睨むリョーマに耐えきれず正直に告げると、はあっと大きな溜め息をされてしまった。けど、リョーマは怒ることなくお風呂に入って来て、と頭を撫でられて、どっちが年上かわからない。
リョーマに従うまま温かなお風呂に入って上がると、突然後ろから抱き締められる。

「ねぇ、今日って祝ってくれるんでしょ」
「うん?そのつもりだけど」
「じゃあさ、泊まっていってよ」

リョーマのその言葉に妙に意味がありそうで返事を躊躇っていたら、きゅっと頬を摘まれる。意味は分かってるんでしょ?ねぇ、もう大人なんだからいいじゃん、と拗ねたような声です言われて。確かに、リョーマは今日で二十歳を迎えたから、法律的には大人になる。けど、そういう問題じゃない。私の心臓の問題だ。

「俺、ずっと我慢してたよ」
「…うん」
「でもさ、もう抑えらんない。名前さんが好き」
「…分かった。泊まってく」

意を決して返事をすれば、リョーマの抱き締める力が強くなって、彼への愛おしさが増していった。
今から彼の誕生日を祝って、彼がお風呂に入ってる間に心の準備をしよう。そうして、ちょっとずつちょっとずつ、彼との愛を育んでいこう。

Happy Birthday
大人になった彼へ精一杯の愛を捧げる

12/24 越前リョーマ聖誕祭