BIRTHDAY | ナノ
今日もいつも通りの日を過ごした。授業を真面目に受けて、テニス部のマネージャーをして。あ、あえて挙げる違うことなら部員の数人が(主に菊ちゃん、不二、桃、越前の四人だけど)ニヤニヤと笑って私を見ていることかな。なんなのあの目。

「苗字ちゃーん、日吉くんとはどうなってるにゃ?」
「日吉くんって、氷帝の?」
「そうそう!」
「どうって…別に何もないよ」

私の言葉を聞いた途端驚いた声を出してぐいぐいと近づきながら、本当かと尋ねてくる始末。本当も何も、何があるっていうの。まあ、日吉くんとは付き合ってるけど、第一菊ちゃんたちに話す必要なんてないし。
本当に分からない様子の私に呆れた四人。越前なんて生意気にも、まだまだだね、なんて決めゼリフ言ってくる。ちょっと生意気って思ったから頬を抓ってあげたけど。

結局、四人の意図が分からないまま解散になってしまい、私は帰る準備をして一人で家路につく。
日吉くんと…なんかあったかな?やっぱり気になってモヤモヤしていると携帯が鳴り響いた。相手は考えていた日吉くんで、慌てて電話に出ると不機嫌な声が聞こえる。もしかして、また氷帝で跡部くんと何かあったのだろうかと心配になる。

「…名前さん、何か忘れてませんか」
「え…?あ、もしかしてこの間日吉くんの家に行った時忘れ物してた?」
「……」
「ち、違った?」

応答のない電話に日吉くんの機嫌が悪くなっていってるのがよくわかる。恐る恐る日吉くんの名前を呼べば盛大に溜め息をつかれた。
菊ちゃんたちが言ってたように何かあっただろうか。記念日…は、違う。あれ、会う約束とか…も違う。

「信じられません」
「ごめ、」
「今日、俺の誕生日なんですけど」
「…あ!」

そうだ、日吉くんの誕生日だった!もう、なんで菊ちゃんたち知ってたなら教えてくれなかったの!プレゼントは用意してたけど、今日ってことを忘れてたの、と日吉くんに一生懸命伝えるとわかってます、と冷静な返事が返ってくる。
その時、ふわりと日吉くんのような優しい匂いがしたと思えば抱き締められていた。

「だから会いに来ました」

暖かな温もりに安心していたのも束の間、ぎゅっと頬を抓られる。それも思い切り。あまりの痛さに涙目になって、それでも自分が悪いから謝っていると頬に柔らかな感触が掠める。日吉くんに頬にキスをされた。
驚いて後ろを振り返り日吉くんを見れば、ほんのり頬が赤く見えて。

「名前さんからキスしてくれたら今日は許してあげます」
「……お誕生日おめでとう」

Happy Birthday
少し恥ずかしかったけど、久々に日吉くんに会えたことと、珍しいデレに嬉しくてキスをすると後頭部を押さえられて甘く長いキスをした。

12/05 日吉若聖誕祭