111 | ナノ
お願い!パン、と両手を合わせて目の前の銀ちゃんに言うと、はあと大きな溜息をついた。

「俺が金ないの分かる?」
「嘘吐くな天パ」
「うわ、今の傷ついたー。もうやめちゃおー」

うわああ!ごめん!そう言ってまた手を合わせて礼をした。100円沖田くんに借りちゃって、返さないと大変な目に合わせるって言われたの!
もう一度そう言うと、なんでよりによって沖田くんに借りたかねェ、と銀ちゃんは言った。だって、傍にいたの沖田くんだけだったもん、と口を尖らせて言うと、また溜息を吐かれた。

「ほらよ。明日にはちゃんと返せよ」
「わあ、銀ちゃんありがとー!」

ぶんぶんと手を振ると、小さくひらひらと振った。
よし、これで沖田くんの地獄から逃れられた!

願う
ひ、土方さん、100円貸して!銀ちゃんに返さなきゃ!

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