111 | ナノ
テレビの中でキラキラと輝く林檎ちゃんが大好きだ。
CDだって初回も通常も持ってるし、林檎ちゃんが出たDVDなんて限定盤を全巻そろえた。歌番組で、実際に見れる時なんかいっぱい応募した。それぐらい林檎ちゃんが大好き。
ちょっとだけでもいいから林檎ちゃんに会いたいなあ、って同じ中学で、一番仲の良かった音也くんに言った。いつもリンちゃんの話だよね、と音也くんは笑った。

「それぐらい林檎ちゃんは私の人生なの!」
「はは。あのさ、名前は俺がどこ行ったか知らないの?」
「え?早乙女学園でしょ?知ってるよ、もちろん」

変なこと言うね。あははと笑えば、俺のクラスの先生リンちゃんだよ、と言った。
え!林檎ちゃん!?ガタリと立ち上がれば、はーい、とハスキーな声が聞こえた。え、うそうそうそ!この声、林檎ちゃんだ!
リンちゃんに、俺の友達に名前って子がいるんだけど、リンちゃんの大ファンなんだよ、って話たらその子知ってるって言ってたから。

「いつも手紙とかくれてた子よね。可愛い字だったから覚えちゃった!」

望む
うわああっ、ほ、ホンモノだあ!

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