111 | ナノ
「ほーんと、黒子は可愛いなぁ」
「そうですか」
「うん。とっても可愛い」

私の隣りにいる黒子を眺めて、そう言っても全部流されてしまう。まあ、そんな所もいいんだけどね。汗をタオルで拭いながら、練習を続ける先輩や火神たちを見ている黒子に続いて私も目を向けた。凄いなぁ、なんて感心しちゃって私とは正反対だと思ってしまう。
あー、だめだめ。マイナス思考になってる。
ふるふると振り払うように頭を横に振って別のことを考えようとする。スッと立ち上がる黒子に、頑張って、と言おうと思えば、苗字さんだって・・・と言葉を遮られる。

「苗字さんだって可愛いし、頑張り屋さんじゃないですか」

微笑みながら言うだけ言って、黒子は火神たちのところに走って行ってしまった。その時に見えた耳が赤くて、私の顔は熱くて。

微笑む
(て、天使だぁ・・・)

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