thanks | ナノ
久々に中庭に出てみると、名前がベンチに座って一人で何かをしているのを見つけた。ご機嫌なようで、鼻歌まで歌ってる。そーっと後ろから近付いて、脅かしてやろう!にひひ、と笑ってその背中に近づいてあと一歩というところで、嬉々とした声が俺の耳に届いた。出来た出来た、と言う名前に何が出来たんだよと俺が話しかけると、わあ、と大袈裟なほど大きな反応を見せた。結局驚かしてるし。


「もう、翔ちゃんやめてよね!心臓に悪いっ」

「翔ちゃん言うな!」


で、何が出来たんだ。もう一度そう聞けば、じゃーんとニコニコ笑って手の甲を見せてきた。は?何でそれ見せるんだよ。…あれ。こいつの爪……。


「お、ネイルしてみたのか!」

「うん、そうだよー」

「へえ。しかも、これ俺が似合いそうって言ったのと似てるな」


名前の左手を掴んでずっと爪を見てると、それ翔ちゃんが勧めてくれたやつだよ、と言った。やっぱりそうなのか。それから名前は、右手の爪にも塗ろうと試みていた。だけど、プルプルと震えてる手がおかしくて笑うと、笑わないでよと怒る。


「俺が塗ってやるよ」

「え、ほんと!?」

「ああ」


よろしくね、と言って右手を出してきた名前の手を握って、ピンクのネイルを塗って行った。ピンクって翔ちゃんみたいだね、と笑った名前。なに可愛いこと言ってんだ、バカ。


あなたの色に染められて

音也たちが俺たちを探してたらしく、見つけたと言ってこっちに来た。そしたら、渋谷が手繋いでるみたいだね、なんてからかって来て、バッとすぐに俺たちの手が離れた。七海は天然だからわざとじゃないんだろうけど、仲良しなんですね、なんて言って笑顔を向ける。そしたら、みんな俺たちのことをからかい出して、那月は名前の爪を見て翔ちゃんに染められてるみたいですね、と呑気に言った。顔から火が出るほど熱くなった俺と名前の顔。意識し始めるのは、またあとの話。


0630
ゆうみさんリクエストありがとうございました!翔ちゃんで、ちょっとほのぼの甘系にしてみました(`・ω・´)ゝピュア翔ちゃんとピュア名前ちゃんのお話です。翔ちゃんピュアでほんと可愛い(←) これからも、よろしくお願いします!!\(^∀^)/