thanks | ナノ
本当は気付いていた。けど、いつだって気付かない振りをした。もし気付けば、今までの子達みたいに捨てられるのかもしれない、と。そんなことはない、っていくら考えても嫌な事ばかり。電話の着信履歴を見て見れば、彼、花宮くんの名前がある。けれどそれは、もう2週間も前のもの。
忙しくて会えないって言っていた。ただそれだけで会えないのだろう。自分に言い聞かせるように、何度も呟く。
最後に、花宮くんに会った時に見た夢。あの夢は、本当なのだろうか?彼が、別の誰かと歩いていて、私はただそれを見るだけ。ああ、今だってそうじゃない。愛してるなんて言葉で全部騙されて、そこらへんの女の人と一緒じゃない。

首に下げられたネックレスは、きっとたくさんの人が持っているものだろう。似合うから、と渡された私。それ以外の人には何て言ったのだろう。冷静に考える自分に笑いが出てくる。

『じゃあ、愛してるって言えばいいのかよ』

少し怒ったようなその声が好きだ。心の中では、嘘でもいいから言ってほしい、なんて思っていたのに、あの時の私はいらないと言った。もう、その時から気付いていたんだろう。もし、言って、とでも言っていれば私は捨てられていた。……なんて、今も危ないくせにね。



ぐるぐると回るその数々の彼の言葉。不器用なんだろうな、と思った。他校の知り合いと合った時は酷く嫌そうな顔をしていたけれど、少し楽しそうにも見えた。今頃彼は、誰と会っているのだろうか。少しでも、私を思い出してくれるかな。片隅でもいい。こんな奴がいたな、でもいいの。もし、思い出してくれたら、きっと、貴方を忘れることが出来る。


震える指で、そっと着信拒否をしますか、と問いかける画面にはい、というボタンを押した。これで、いい。きっと、これでいいんだ。


花宮くんが、私に電話をかけていたことなんて知らないまま、そっと携帯の電源を落として眠りについた。

もう、これでお終いよ。


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リクエストありがとうございました!繰り返し一粒、大好きな曲です。なので、リクエスト来た時、嬉しかったです!…なのに、内容が…。私の中では、夢主→←花宮みたいな感じです。思いが通じ合わないまま、両方が自分は必要ない、って思う感じの…。文章力がなさすぎて申し訳ない。それと、リクエスト遅くなりすみませんでした。

thanks!
繰り返し一粒/猫虫P feat.鏡音リンAppend