thanks | ナノ
いつだって、俺の心は黒く淀んでいたのかもしれない。凄い凄い、と言われ続けてきたバスケは、いつだって練習を積み重ねて来たからだ。それは、みんな同じだろうと思っていた。そんな時にアメリカで出会ったのが、タイガだった。同じ日本の子として、親近感が出た。タイガも誘ってバスケを始めた時、アイツは簡単にバスケをしていった。そのうち、俺と肩を並べはじめる。
タイガが努力してることは知っていた。けれど、自分の方が先に始めたのに。とか、兄貴なのにタイガより弱い、とか。全部マイナスな思いばかりが募っていく。その時に思い知らされたのは、才能の差だった。俺にはなくて、タイガにはあるそれは、俺を酷く醜くした。


***

タイガと嫌な雰囲気のまま、タイガは日本に帰っていった。その数か月後に、俺も日本へと向かうことになる。タイガと出会わなければ、実力の差なんてどうこう考える必要もないと感じていた。
けれど、タイガよりももっと強い「キセキの世代」という人物に出会った。ここでも俺は、影なのかと絶望をした。才能に恵まれたアイツらと俺は天地の差だと言われた気分になった。
そんな時に、俺を助け出してくれたのが、彼女だった。俺のバスケを凄いと褒めてくれた。俺のバスケを好きだと言ってくれた。彼女だけが俺を見てくれた。こんな幸せなことはないだろう。


「…氷室くん?」
「ああ、ごめん。それで、なんだっけ?」
「もう。ちゃんと聞いててよね」


少しだけ頬を膨らませた彼女に笑みが零れる。この先もずっと彼女といれたらいいな、とか色々考える。私ね、留学するの。そんな考えの途中に、ガラガラと崩れ落ちる音。聞き間違いなのか。だけど、違うようだった。彼女の手には、アメリカのパンフレットがあった。
また、俺は影になるのだ。誰も、俺を見てくれない。才能がある奴ばかりを見る。


「でもね、氷室くんのバスケが見れなくなるのは嫌だから…」
「じゃあやめるの?」
「…ううん。良かったらね、写真とか送ってほしいなぁ…って」


掌を合わせて笑った彼女は、バスケしてない氷室くんも見たい、と続けた。
誰も自分を見ないなんてそんなことはなかった。彼女は、いつだって、どこにいたって俺を見てくれる。分かったよ、と言って俺は彼女の留学を受け入れた。才能なんて、関係ない。そう思えたからだ。


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リクエストありがとうございました。タワー素敵な曲でした。でも、自分のお話が意味不明です。終わりが見えません(;Д;)変な形の終わり方ですみません。それと、遅くなり申し訳ありませんでした。

tanks!
タワー/KEI様 feat.巡音ルカ