thanks | ナノ
柄にもなく、自分がもし死ぬ間際には何を思うのだろうなんてことを考えたりした。もしかしたら、後悔というものをするのだろうか。それとも、幸せだったな、なんて思えるのかな。どうせなら、やり残したことなんて何一つない、って大きな声で宣言をしたい。そのために必要なことは、僕の隣りで名前がずっと笑うことだと思う。なんて、そんな台詞を言えば、名前は笑うかな?

良くん。
優しい声で、僕を呼ぶ名前に振り返れば笑っていていた。そっと、ある所を指差して、行って来たら、と困った顔で言うから何事かと思い目を向ければ、青峰さんと桃井さんが喧嘩をしていた。無理だよ、と何度も首を振ればそうだよね、と笑うので行かなくて良くなったことに安堵した。それでも、いつもは名前が行ったりするのに今日は僕に言ったんだろう。いつの間にか隣に並んだ名前をちらりと盗み見れば、僕が見たことないような綺麗な顔をして、青峰さんたちを見ていた。


「…あ」


ふと、漏れた声に咄嗟に口を閉じたけど、バレたみたいで、どうしたのと首を傾げる。ううん、と今度はゆっくりと首を横に振った。もし、僕の思い違いなんかじゃなかったら、きっと…。名前を見ただけで分かるけど、何よりも青峰さんが分かりやすかった。だってほら、いつも睨みを効かせるあの表情は寂しそうに名前の背中を見つめているから。行こう、と僕の手を引く名前はいつものように笑っていて。


「…名前」
「なに?良くん」
「……ごめん、何でもない」


ごめん、名前。すみません、青峰さん。もう少しだけ、もう少しだけでいいから。名前の笑顔を傍で見ていたいって思うのは、我儘に入るのかな。だったら、その我儘に付き合って欲しい。
だって、僕にはまだ名前が必要だ。それに、青峰さんが本当に名前を幸せに出来るのか心配なんだ。もし、泣かせるようなことがあれば、一生恨むだろう。
…でも、名前が幸せだって思えるんだったら、それは僕の幸せでもあるから。だから、あと少しだけ。

1125
リクエストありがとうございました。遅れてしまい申し訳ありませんでした…。完成しましたが、切ない仕上がりですし中途半端ですが…。これからも当サイトをよろしくお願いします。

thanks!
心拍数#0822/蝶々P様 feat.初音ミクAppend