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運動出来るし、ルックスも良いし、女の子にモテて、勉強は・・・まあ、あれだけど。そんな俺は、何も言わなくても女の子は寄ってくるから好きになった経験なんてない。だけど、今日、気になる人が出来た。
この学校の会長だ。赤司っちも推薦で上がっていたけど、辞退して、圧倒的な票で彼女が勝った。その時から認めていたし、可愛いななんて思ってたけど、結局そのぐらいだった。けど、今日の昼休みに青峰っちのクラスを横切った時に女子の制服がチラッと見えたし、青峰っちに注意をしている人だ。それが出来るのは桃っちぐらいだけだと思ってたから、また怒られてるんスか?って笑って声を掛ければ、キレイな黒色の長い髪を揺らして振り向いたのは会長だった。


「あ、あれ?」

「あー?んだ、黄瀬」

「え、いや、てっきり、桃っちかと・・・」

「さつき?なんでさつきが出てくんだ」


青峰っちを注意出来るのって、桃っちくらいかと思ってたんス。とぽつりぽつりと言うと、コイツのが口うるせーよ、とその会長・・・えっと、苗字サンを指差して言った。指差さないでくれる、とその手を叩き落とした苗字サンは俺の方を向いて、黄瀬くんも服装きちんとして、と注意されて急いでネクタイを直した。


「こ、れでいいっスか?」

「うん、そっちのがカッコイイよ」

「・・・え」


ニコリと綺麗に笑う苗字さんの笑顔を見たら、ぶわっと顔が熱くなる。鼓動も早くなる。ええっ、ま、まさか。・・・そうして今に至るわけで。目の前で楽しそう・・・というか、苗字サンに青峰っちがちょっかい出してるのを見て、いいなぁとか思ってしまう。髪の毛をぐしゃぐしゃにした青峰っちの腹に拳を入れた苗字サンは溜息をついて髪の毛を整えていた。とても、キレイな、黒色。つい手を伸ばして、絡まりを取ってあげると柔らかく微笑んで、ありがとうと言う。ドキン、とまた胸が高鳴った。





きっと、っつーか・・・絶対に黄瀬は苗字のことを好きになっている。俺のクラスに来る回数が増えて、まず最初に俺のところに来ると苗字を探し出す。お前はそこらへんの女でも捕まえとけっつーの。半分イライラしていると、たくさんの資料を持った苗字が現れて、自分に席に、俺の前の席に座った。それから、くるりと振り返れば紙を突きだして、この点数なに、と言うからテストの点数、と答えると紙を持つ手が強くなったのか、ぐしゃりと音が鳴る。


「私が教えた意味ないじゃない」

「え、青峰っち、苗字サンに教えてもらったんスか?」

「そうなの。先生に頼まれたから仕方なく教えてあげたのに」


なんで上から目線で言ってんだよ、と言いながら苗字の椅子を足で押して俺との距離を離した。ちょっと、と怒りながらまた椅子を引く。コイツ、軽すぎだろ。内心ちゃんと食べてるのかと心配になったけれど、口うるさく言う苗字と隣で吠えている黄瀬に耳を塞ぐ。ほんと、うるせーな。


「青峰くん、さつきちゃんに言うよ」

「さつきが何だ。全然怖くねーよ」

「黒子くんや赤司くんにも言うから」

「・・・」


なんでコイツ、テツや赤司の名前出すんだ。つーか知り合いか?ふふん、と勝ち誇った笑みを浮かべるから腹が立って、いつもみたいに頭をぐしゃぐしゃにして立ち上がって教室を出た。まあ、怒りながら追いかけてくるんだろうけど。


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リクエストありがとうございました!桃ちゃんとは去年同じクラスだったから。黒子とは読書仲間だから。赤司くんは会長選挙で知り合いに、みたいな裏設定。書くの楽しかったです(笑)ぜひ、これからも当サイトをよろしくお願いします!

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