thanks | ナノ
バッと起き上がって、真っ暗な部屋に私の荒い呼吸だけが響く。ドクリドクリと煩い心音。嫌な汗。現実で起こったことかのように、リアルすぎた夢にガタガタと震える指先。立てた膝に顔を埋めて、やだなぁ・・・と呟いた。ほんと、なんであんな夢見ちゃったのかなー・・・。溜息ばかりが出てきて、そんな自分も嫌になっているとコンコンと窓を叩く音が聞こえた。


「・・・ゆ、うた?」


暖かいその手で



窓の鍵を開けると、悠太は開けて中に入って来た。続いて祐希まで入って来て驚く。だって、悠太たちの家から私の家の窓ってちょっと距離があるのに、軽々と入って来るから。手の震えを隠すように、どうしたの?と握りしめて言えば、そっと手を重ねられた。


「・・・辛そうな名前が見えたから」


表情は変えずにそう言った悠太。パチパチと瞬きを何度かして、やだなぁ・・・と眉を下げて笑って誤魔化そうとすると、祐希が私の頭をポンポンと撫でる。なんで分かったんだろう、とかそういう事はどうでもよくって、来てくれた二人に嬉しくて心が温まる。一人じゃないんだ、って分かると涙が出てきた。
起きてたの?寝てたけど、たまたま目が覚めた。そうしたら、名前が辛そうなのが分かった。私の問いに二人が答える。


「どうしよう、寝れないかも」

「俺たちがいるよ。だから寝ていいよ」

「でも、」


私の反論も聞かずに、祐希に肩を押されてベッドの上に横になった。本当にいいんだろうか、と思っていれば布団の中に祐希が潜り込んで来て、気がつけば隣にいる。それは反対の隣も一緒で、悠太がいた。ちょっと狭いね、と言ったけど、温かくて人がいるのが分かる。だから、逆に出て行ってほしくなかった。右手に祐希の手、左手に悠太の手。ぽかぽかとして、すぐに眠りに誘ってくれた。


「おやすみ」

「おやすみ」


二人の声が心地よくて、うとうととし始めてとうとう目を閉じた。瞼に溜まる私の涙をどちらが拭ってくれたか分からなくて。好き、なんて言葉をくれたのがどちらか分からなくて。だけど、その行動や言葉にどんどん眠りが深くなっていく。私も好きだよ、なんて言葉は明日の朝まで覚えてるかな?


0925
リクエストありがとうございました!悠太と祐希のセリフがどっちがどっちか分かりませんが、ご想像にお任せします。幼なじみ設定ですので、さすがに祐希は敬語は使わないだろうと思ってます。これからも当サイトをよろしくお願いします。

thanks!
ジェミニ/Dixie Flatline様 feat.鏡音リン、鏡音レン