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毎日が、いつもと変わらない日々で退屈だ。そう思っていた私の生活は今や普通じゃなくなっていて、刺激的な日々に変わっていた。それまだつけてるんスか、と彼の嫌そうな声が聞こえて、右手の薬指にはめられた銀色の指輪を奪われた。コトリ、と脇にある机に置かれる。噛みつくようなキスをされて、苦しくて彼の肩を押したけれど全く動かない。そのうち抵抗も忘れてしまうほど、そのキスに酔いしれてしまう。


道徳≠背徳



笑顔を振りまいて、先生にも生徒にも頼られて、親の自慢の子を優等生と呼ぶのならば、私はそれに値するのだと思う。金持ちの家計に生まれてから、ずっと道は決められていた。英才教育を受けていて、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、仕事、結婚相手。全て決まっていた。けれど、どうしても、と私が父や母にお願いをして高校は好きな所に行ってもいいと言われた。きっと、最初で最後の自由なのだろう。だって、私はこの名前に縛られている。苗字家はどこに行っても知らない人がいないはずもなくて、いつだって頭を下げる人ばかり。

そんな時に、彼と出会ったんだ。黄瀬涼太。テレビや雑誌はあまり見ないから分からないけれど、有名なモデルさんだとか。そんな彼、黄瀬君は私を見ても頭なんか下げないで、友達同士が話すように声を掛けてくれた。
今や、そんな彼とは周りには言えない関係で、両親が知れば悲しみ絶縁されるだろう。


「・・・もう時間スか?」

「そうみたい。また今度でいいかしら?」

「別に、いいっスけど・・・」


掛かってきた電話は、レッスンの時間という電話で。パサリ、と落ちている自分の衣類を着て、拗ねたのか余所を見て私と目も合わせようともしない黄瀬君の額にそっと口付けた。離れようとしたら、後頭部を抑え込まれて今度は彼の唇だ。しばらく離れなくて、やっと離れたと思えば悲しそうな顔をする黄瀬君がいた。
けれど、そんなことを気にしている暇もなくて、脇の机に置かれている指輪を手に取ろうとすれば、黄瀬君の手が伸びて来て彼の手の中に納まった。


「これは俺が預かっとくっス」

「駄目よ。父に怒られるわ」

「・・・でも」

「お願い。返してちょうだい?」


ニコリと微笑んで言えば、渋々というように指輪を差し出された。その指輪を嵌めれば、ボソボソと黄瀬君が何かを言った。時間がおしていたが、この指輪をくれた相手なんかよりも黄瀬君の方が大事で、そっと耳を傾けると、名前は俺のことどう思ってるんスか、と聞こえた。そんなの好きに決まってるじゃない。ベッドに座る彼の隣りに腰かけて、手を握りそう言えば、ぎゅうっと手を握られた。離してくれそうにない彼に溜息を吐いて、怒られるわね、と。けれど、彼と一緒にいられる時間が伸びるのなら、それぐらいいいわ、なんて思ってしまう私は溺れてしまったのかしら。

0924
神崎さんリクエストありがとうございました!婚約者のいるヒロインちゃんと黄瀬くんが内緒の関係というお話です。終わりが意味不明で申し訳ありません(´;ω;`)ゲス黄瀬とかハマってます。ごめんなさい・・・!いや、でもやっぱり一番好きなのは、わんわんお!な黄瀬くんです。ちょっと甘えたさんな黄瀬くんなので、ゲス4:わんわんお6くらいかなー・・・だったらいいなと思ってます。ぜひこれからも当サイトをよろしくお願いします!

thanks!
ピアノ×フォルテ×スキャンダル/OSTERproject様 feat.MEIKO