thanks | ナノ
にこりと口角を密かに上げて微笑む彼から目が離せず私も少し微笑んだ。そんな私と彼の手には銃が握られていて、その銃口は向かい合っている。どちらが先に打つか、というぎりぎりの所だ。


「君は、どこのグループかな?」


そう聞く彼に、あなたから名乗ったらどうかしら?とにこりと目を細めて笑った。そしたら彼は、声をあげて笑う。空高くまで上っていきそうな彼の透き通る声。ヨウセンだよ、と言ってもう一度先ほどと同じことを言った。


「私は、セイリンよ」


言葉を発して直ぐに煙に包まれた。耳元で私の名前を呼ぶ日向の声が聞こえて即座に行動を起こし彼の前から消えた。


何も見えなくて



小さなライブハウスの楽屋で、日向の説教を半分聞いていた。何ですぐに逃げなかっただの、俺が来なかったら殺られてただろだの。うるさいなぁ、ほんと。私一人でも大丈夫だったし、なんて思ってごめんなさいと謝ると溜息をついた。それからスタッフの呼び掛けが始まって準備をした。黒のパーカーを目深に被って、黒の短いスカートにショッキングピンクのブローブ、そのピンクと黒のシマシマのハイソで、目が少し痛くなるような私のファッション。後ろで演奏をする日向や伊月、木吉、黒子、火神の服装も黒が中心だ。
ステージに立てば歓声があがる。自分で言うのもあれだけど、私たちのグループは有名だと思う。同じような格好をした人たちの中を見回していると、小金井や水戸部たちを見つけた。セイリンのメンバーとは反対側にいる不自然な男を見つけて、目が合って気がついた。この男、この前のヨウセンの奴だ。ニコリ、と笑って、音楽が始まる。


一般の人を巻き込まない為なのか、行動も起こさずに私を見るその男。後ろでギターを弾く日向を見れば、彼も他の皆も気付いてる様子だ。普段はあまりしない振付をしながら歌えば、水戸部が最初に気付いた。それから彼らが動き出したけれど、あの男はいなくなっていた。





「まさか、あの有名なグループのボーカルだなんて、驚いたよ」

「・・・皆がいなくなって現れるのね」

「だって、彼らは邪魔じゃないか」

「そう。で、何の用かしら?」


チャキリ、と誰もいない路地裏で私の額に銃口が当てられる。だけど、そんなことは予想通りで、表情も何も動かさずに打ちなさいよ、と言えば参ったとでもいうような表情で銃をポケットへとしまう。それからもう一度聞けば、君に会いに来たんだよ、と言われる。


「ナンパ?」

「まぁ、そんなところかな」

「残念だけど、断らせてもらうわ」


へえ、とニヤリと口角を上げて笑う彼。内ポケットに手を忍ばせて、また銃でも出すのかしら、と冷静に考えていれば真っ黒の名刺を差し出して、氷室辰也って言うんだ、と言った。


「貴方のハートを打ち抜きに来ました」


見えている片目を細めて笑う彼に、クサいこと言うのね、と笑う。それよりも、どうして私にそんなことを言うのか分からない。すると、それを悟ったかのように、セイリンの財宝は貴方、苗字名前だと聞いたから、と笑う。


「私は手強いわよ?」

「分かってるよ」


ニヤリ、とどちらの笑みも真夜中の暗さに溶けていった。


0918
クロさん、リクエストありがとうございました!な、なんか結末がよく分からず不明な終わりに・・・!マフィアパロです。マフィア氷室さんとてもみたい。スーツ姿がカッコイイんだろうな。なんて考えながら、アンハッピーリフレインを聞いていたら完成してました。アンハッピーリフレインは鳥肌ものですね。やばいです。最初の所を一緒に発狂しちゃいますね。これからも当サイトをよろしくお願いします!

thanks!
アンハッピーリフレイン/wowaka様 feat.初音ミク