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彼の家に向かう途中で黒髪の女の子と楽しそうに喋りながら帰っているのを見た。二人とも名前で呼び合ってて、背の高い彼に見合う身長を持っている女の子を羨ましいと思った。ズキズキと胸が痛くて、その場をすぐに去った。走って家に帰ったけど、それでもあの光景が忘れられなくて・・・。初めての恋だったのに。初めての恋は、私にとってはとても辛いものだった。


奏でてこの想い



一人自分の席に座っていると塚原くんたちが登校してきた。私の前の席の塚原くんはおはよう、と言ってくる。だから私も一生懸命笑っておはようと言った。昨日何してた?と言った塚原くんに、ドキっと心臓が跳ねる。ま、漫画読んでた。そう言うと、勉強しろよって笑われる。今度は違う意味でドキっとなって、ダメダメ、と首を振って塚原くんは?と聞いた。


「あぁ・・・、特に何も」

「・・・塚原くんこそ勉強してないじゃん」

「俺はいいんだよ」


嘘つきだ。きっと、あの後もあの子といたんだろう。きゅっと口を閉じて下を向いたら、どうした?と言って心配してくれる。だから笑って何でもないよ、と手を顔の前で振った。そう言えばね、昨日塚原くん見たんだよ。といえば、驚いた顔で私を見るから、あの子といるの見られたくなかったのかと思って少し申し訳ない気持ちになった。お似合いだね、って言ってあげると何かを言おうとする塚原くん。だけどそれと同じようなタイミングで先生が入って来て話は中断された。

その後は、全部たまたまなんだけど友達が私を呼びに来たり、先生が塚原くんを呼んだり、浅羽くんや橘くんが塚原くんの所に来たりで話す時間も出来なかった。まぁ、その方がいいんだけどね。だって、毎回邪魔が入るときに塚原くんが焦ったような顔でこっちを見るから、きっと言わないでくれっていうことなんだろうなって。そんなの分かってるよ。


放課後になって音楽室に来たら誰もいなかった。だから遠慮なくピアノを使わせてもらって音楽を引いているとガチャ、と勢いよくドアが開いてびっくりして手を止めた。ドアの方を見てみると息を荒くした塚原くんがいる。


「あの、さ・・・・・・昨日のことなんだけど」

「え、う、うん。あ、でも大丈夫だよ!他の人には言わないから」

「は?」

「え?」


沈黙が出来て、それに溜息をして塚原くんはそんなんじゃねぇよと言った。そんなんって・・・、付き合ってないってこと?と言えば、当たり前だろ!と大きな声を出す。あいつはただの幼なじみだ、って言われて酷く安心しちゃってヘタリと座り込んだ。驚いたように駆けつけて来た塚原くんに、良かったぁ、って私が言うとアホって言われて頭を小突かれた。


「私、塚原くんがあの子と付き合ってるって思って、辛くて・・・」

「は、それって」

「あ」


泣きそうになってたのが引いて、顔が熱くなった。塚原くんの顔も真っ赤で、首の後ろに手を回した塚原くんは私と目が合うと、好きって言葉をくれた。だから私も好き、って言葉を言って、二人で笑い合った。


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お姉様リクエストありがとうございました!要・・・!要要!口調が途中で行方不明になってます、ごめんなさい(゚Д゚;)黒髪の女の子はひさこちゃんです。要もヒロインちゃんも結構前から両想い!です。きっと永遠に続くと思ってます。要が息を荒くしていたのは探し回っていて、その時にヒロインちゃんが弾いたピアノの音を聞いてここまで来たっていう設定です。分かりにくいですよね、ごめんなさい・・・。これからも宜しくお願いします!

thanks!
ハッピーシンセサイザ/Easy Pop様 feat.巡音ルカ・GUMI