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(バレンタイン拍手log)


るんるん、とこれから部活だと考えると足取りが軽くなってステップを踏む。
今日はみんなにチョコレートをあげる!料理はあんまり得意じゃなかったけど、みんなの喜ぶ顔を想像したら頑張ろうって思えたんだ。何回も失敗しちゃったけど、そのうちコツを掴めるようになっておいしいブラウニーができた。
みんな、喜んでくれるかな。がちゃりと扉を開けると、ふんわりと甘い匂いが漂ってきて、今日はチョコ風味の紅茶みたいだ。すでにみんないて、いつもの席に座っていた。


「はい、今日はバレンタインだからチョコのお菓子よ」

「わあ・・・!ムギちゃんありがとー」

「あ、そうだ。私もみんなにチョコがあるんだ」

「私もあるぞ!って、澪と同じのだけどな」


ムギのチョコに続いて、みんながチョコを取り出した。
澪と律のはクッキーで、可愛らしい動物さんたちや色々な形がある。梓はカップケーキを作っていて、唯も持ってきていたけど妹の憂ちゃんが作ったらしい。憂ちゃんが作ったのはチョコプリンでお店に売っていても間違いないというほどの可愛らしさ。
私もあるんだ、といってホールのブラウニーを取り出した。それからみんなでいつものようにお菓子パーティーみたいになって、途中で私たちのチョコを持ったさわ子先生が来て、またお菓子が一つ増えて、音楽室はとっても甘い香りが漂う。


「あ〜、毎日がバレンタインだったらいいのになぁ〜」

「何言ってんだ。いつもバレンタインみたいなもんだろ」

「でも、みんなでこうやってお菓子持ってくるのもいいわねぇ」

「お、そうだ!月に一度みんなでするか!」

「それよりも、練習が先じゃないんですか?」

「まあまあ、梓。でもさ、みんなのためにブラウニー作ってた時、私すっごく楽しかったよ!」


私がそう言うと、さわ子先生はそうねぇ、と言ってにこりと笑った。それから先生らしく、大切な人のために作る時って幸せよね、と笑って紅茶を飲んだ。
そうだね、さわちゃんの言う通り!と唯は立ち上がって、私たちみんながそれぞれを大切に想って作ったからこんなに幸せな時間が過ごせるんだよね、と唯に似合わないようなステキな言葉を言った。
そうだね、と私が笑うと、みんなも頷いて笑った。




だって放課後ティータイムだもの!

みんなとこうやって笑って、喋って、たった一秒でも過ごす時間が長ければ、私たちの想いってどんどん強くなるんだね。この縁は切っても切れない鎖のようなものだよ。だって、みんながいない人生なんて考えられないよ。私たちは出逢うべくして出逢った仲間だよね。もちろん、さわ子先生も私たちの大切な先生であって、仲間だよ。今、ここにいない和ちゃんもね。そう言って私が言うと、みんな頷いて口を揃えて永遠の絆、と指きりをした。


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