thanks | ナノ

コンコン、と何度も私のヒールの音が鳴る。全く、なんでまだ来てないのよ!苛々としながら、もう一度時計を見た。すると、男の3人組が私の前に立ちはだかって来て、声を掛けてくる。何よ、あんた達みたいなのが私に話しかけてもいいと思ってるの?そう口に出そうとした時に、男の肩を掴んだアイツが現れた。男たちは、小さな舌打ちをして去って行った。フン、さっさとどっか行きなさいよ。悪い、と一言言ったアイツは行こう、と先に歩いて行ってしまう。ちょ、ちょっと!あの時の約束忘れたの!?そう声を掛けるよりも先に、空いていた私の手が握られた。


可愛くなりたい



「・・・遅かったじゃない」

「あー、悪い。ちょっとさ」


何よ、さっきからそんな態度ばかり。こっちを見もしないで。それにあの時の約束さっそく破ってるじゃない。一つはいつもと違う髪型に気付くこと。今日は、いつもと違う髪型にしたのに。二つは靴まで見ること。オシャレしたのに見てくれないんだったら意味ないじゃない。もう、なによ・・・!可愛いとも言ってくれないなんて。甘いものが食べたい、と言うと太一は携帯を取り出して近くの店を調べ始めた。そうして連れてこられたのは、おいしいって言われている喫茶店。


「あのね」

「ん」

「・・・・・・聞いてないでしょ」

「ん」


白い馬で迎えに来てほしいとか、今すぐ甘いものが食べたいとか、そういうのは我儘じゃない、もん。・・・でも、太一が我儘って思うんだったら叱ってくれてもいいし、とりあえず私を見てほしい。
注文を聞きに来た店員さんが来たけど、いらない、と言って苺のショートケーキやプリンを頼まなかった。ほら、我慢できるの。だから我儘な子なんて思わないで。ぐっと唇を噛んでいたら、涙が出そうになって、帰ると一言いってお店を出て行った。もう、知らない。知らないよ、太一なんか。


「・・・あ、おい!危ないっつの」

「・・・・・・」

「車、来てただろ」


赤信号なのに渡ろうとしていた私の手を引いて止めてくれた太一。そう言ってから笑って、今日可愛いな、と言う。ドキっとして、泣きそうになってたのが嘘かのように涙が引いて行った。もう、バカ・・・。

0827
のんさん、リクエストありがとうございました!ワ、ワールドイズマイン!あの歌好きでしたから嬉しかったです!・・・なのに、作品がこんなになってしまって申し訳ないです(´;ω;`)太一は照れ屋さんだから、あんまりヒロインちゃんを見なかったっていう設定にはなっています。ぜひ、これからもよろしくお願いします!

thanks!
ワールドイズマイン/ryo(supercell)様 feat.初音ミク