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小さなころから幼なじみとして傍にいた悠太が、高校に入って彼氏になった。
それから大人になってもずっとその仲は続いていて、会社も同じ場所にたまたま就職し、同僚に仲良いねと言われるほどだった。


「結婚しよっか」


突然切り出したのは悠太で、休日に私の家でボーッと過ごしていた時だった。
すごく嬉しかった。今すぐ悠太に抱き着いて頷きたかった。けれど、別のことを考えると手は震えだして、言わなきゃいけないことがあるの、と言うと首を傾げて悠太は私を見る。
唇が震えて上手く喋ることができない。


「わたし、ね……病気、なんだ…」

「……」

「もって3年だろう、って」


もともと体が弱くて、病気がちだったでしょ。その病気が悪化したっていう感じみたい。と言って笑うとスッと悠太の手が伸びてきて私の後頭部へ手を回すとグッと寄せてきた。
それからもう一度悠太は結婚しようと言った。


「出来ないよ。私はいなくなるんだよ」

「いいよ。名前と結婚したいから」

「だって、死んじゃっても悠太を縛っちゃうよ。他の女の人といたら、恨んじゃうよ」


それでも悠太は、いいと言ってくれた。名前以外の人なんて考えられない、と言って私の涙を拭う悠太。
好きだよ、悠太のこと。だけど、いなくなっちゃったら、悠太に言い寄ってくる女の人なんていっぱいでてくる。そんなの、考えただけで耐えられないよ。悠太の服を掴んでそう言うと、そっと頭を撫でて私の両頬を持ち上げるように手を添えるとキスをした。


「俺は、いつまでも名前の夫ですって言いたい。彼氏じゃなくて、家族になりたい。名前は嫌?浅羽の苗字を貰うのは」

「…いやじゃない。私も悠太の妻で…、浅羽名前としてっ、」


じゃあ、結婚しよう。と今度は私のおでこにキスをして指輪を出した。
はい、と頷くと私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。




愛のリングは永遠に

大好き、と何度も言い合って、何度もキスして…。それがすごく幸せ。ぎゅっと抱きしめると伝わる温もりに心も温まって、この人を愛して良かったと思えた。きっと、生まれ変わっても悠太を愛するよ。そしたら、悠太も私を愛してね。永遠に、あなたを愛し続けます。


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絢香さん、リクエストありがとうございました!
切甘ということで、こういう仕上がりに…。ぜひこれからもよろしくお願いします(きりっ)