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あの人がまた家に他の女を連れ込んだ。臭くて頭が痛くなる香水は、もう何の匂いかも分からなくなるほどたくさんの匂いが混ざってる。うるさい。臭い。むかむかとする胸を押さえて耐えられず家を飛び出した。走って走って、あんな家なんかなくなっちゃえばいい、なんて思いながら走った。公園には子供一人いない。当たり前か。だって、もう夜の9時を回ってるから。一人ぼっちだと思っていた。そんな時に、驚いた顔をする彼が現れた。こんな時間に何してんだよ、と怖い顔をする彼に関係ないでしょと言えば、なに、と怒った声を出す。いいからほっといてよ。さっさとどっかいってよ。そう考えていた私の気持ちとは反対で、彼は私が座っているベンチの隣に座った。


「ほっといて」(たすけて)



どっちも喋らなくて静かで寒い。冬も半ばで、どうしてこんな寒い時に私はコートも何も着ずに外に出たんだ。馬鹿じゃないの。はあ、と手に息を吹きかけるとバサリと私の肩にコートがかけられる。誰の、なんて聞かなくても分かる。若松のだ。いらない、と突き返せばまた怖い顔をされて渋々とそれを来た。


「何でこんな遅くに外にいんだよ」

「・・・家にいたくないから」

「・・・・・・あ?」


フイ、と若松とは反対の方を見た。言いたくないことだから、これ以上聞かないで。そう言えば無言になる。言ったら、幻滅されるだろう。そんな親の子供なら、こいつもそうなんだって思われる。そしたら周りに言って、周りが離れて行って私は本当の一人ぼっち。それだけは嫌だ。だから三者面談でもあの人には伝えずに、先生には何とか誤魔化して面談をしていた。それが今此処で崩れるなんて、絶対に、嫌だ。そう考えていたら鼻の奥がつんとしてきて、目頭が熱くなって・・・。


「・・・・・・誰かに愛されてみたい」


ぽろっと出た言葉に、しまったと口を塞いだ。けど、手遅れだ。隣りの若松は怪訝そうな顔をして私を見ていた。・・・最悪。どういうことだよ、と今までに聞いたことないくらい低い声を出す若松に何でもないと顔を逸らそうとすれば手首を掴まれた。


「全部、話せよ」

「イヤ」

「話せっつってんだろ!」


大きな声にびくりと体が反応した。目が離せなくて、そしたら涙が出てきて・・・。若松は驚いた顔をして、私の手を掴む力が少しだけ緩んだ。それでも手は離れなくって、若松は話せとまだ言う。何を、話せっていうの・・・?赤の他人の若松に話したって何も変わるわけないじゃない!そう怒鳴れば、低い声でいいから言え、と言われた。いや。絶対に。


「じゃあ、話せばいいの?!お母さんは私が小さい頃に散歩中に暴走した車から守ったせいで他界して、それからの父は毎日、毎日毎日毎日!毎日いろんな女の人を連れ込んで、私がいるのにも関わらず連れてくるって言ったらどうするの!?どうせ、・・・どうせ、幻滅するんでしょ?引くんでしょ?みんな、私から離れていくんじゃ、ないの・・・っ?」


本当に最悪だ・・・。言うつもりなんて、泣くつもりなんてなかったのに。馬鹿、若松の馬鹿!声を出して小さな子供のように大泣きする私に若松は手を伸ばして来て、その手は背中に回った。そのまま抱き締められて若松の温もりと鼓動が伝わって来て、少しずつ落ち着いてくる。もういいよ、と離れようとしたけど抱き締める力が強くて全然離れられない。びくともしない。


「お前アホだろ」

「・・・は?」


若松の言葉に驚いた。だって、そんな言葉を言うなんて思ってもみなかった。慰めが欲しかったわけじゃない。頑張ったね、なんていらない。だけど、アホなんて言葉もいらない。何よそれ、と言おうとした途端に私の言葉にかぶせるように若松が言った。


「誰がお前から離れるって?あ?そんなんただのクズだけだろーが。俺をそんなクズ共と一緒にすんじゃねぇ」

「嘘吐かないでよ。そっちの方がムカツク」

「あ?嘘じゃねーよ。離れるわけねぇだろーが!俺は、お前を愛してるんだから」


嘘だ。そう言えば、嘘じゃねぇつってんだろ!と頭を叩かれた。じわじわとまた泣きそうになって、そんな私に追い打ちを掛けるように言った。


「お前も俺を愛してみろ」


0810
瀬山さん、リクエストありがとうございました!若松さんの口調が迷子です・・・。なんかどうしても他のキャラと被ってる気がしてならない・・・。クランベリー、とっても切なくて良い曲でした。こんな素敵な曲があるなんて知らなかったです(゚Д゚;)歌詞とイメージ五分五分です。そして、最後の終わり方意味不明になってしまいました。若松さんのセリフが臭くなってしまいました。もうスミマセンすぎて申し訳ないです・・・!で、ですが!良かったらこれからもよろしくお願いします!

thanks!
クランベリー/蝶々P様 feat.GUMI