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「ゆうたー…」

「なに?また要になんかされたの」

「なんで俺なんだよ!」


そう、要に意地悪された。そう言って悠太に泣きつけば、要に頭を叩かれて、凄く痛い。叩き方が女の子にするような強さじゃないよね、そう言って悠太に言えば、名前って女の子だったの、なんてマジ顔で返された私はどうしたらいいの。どう見ても女の子!大きな声で言えば、周りの子たちがクスクスと笑い出して恥ずかしくなった。


そんなバカしたりする日常



そんな怒ることじゃないでしょ、と後ろからついて来ながら言う悠太に怒ること!とまた大きな声で返してしまって、廊下に出ていた子たちに、またやってるとクスクスと笑われた。もう、あれもこれも全部悠太のせいだ!ぐるん、と前を向いていたのを悠太の方へ向きを変えればちょっとだけ驚いた顔をした。ぷぷぷ、面白い。


「悠太が私のこと女の子だったの、なんて言うから!私は正真正銘の女の子なの!」

「うん、知ってるよ。名前を女の子じゃないなんて思ったこと、一度もないよ」

「…へ?」


これもまたマジ顔で拍子抜けだ。私の中では、初めて知ったよ、っていう顔する悠太を想像していたのにそんな…、そんな、カッコイイ顔するなんて……反則だ。きゅっと上靴を鳴らして、また悠太に背中を向けて歩き出した。それも、さっきより速く。それでも私の後ろをついてくる悠太。そりゃそうだ。だって、悠太の方が私より背が高い分リーチがあるんだもん。いつの間にか人気のない自販機に来てしまうと、簡単に手を掴まれて後ろを向かされた。何を考えているのか分からないその表情に、またドキドキとして、何を言われるのか想像できない。これは、あれだろうか。悠太や祐希がうける告白なのだろうか。


「な、なに…」

「昔からずっと名前のことが、」

「…あ!チャ、チャイムだ!行こうっ」


掴まれた手を振りほどいて、教室までの廊下を走った。もう、うるさいよ…。ドキドキとうるさい心臓にそう言っても、言う事なんて聞かなくって。私が教室についたころには、先生がすでに来ていてすみませんと謝ってから席に座った。それからしばらくして悠太も帰ってきて、悠太も先生に謝ってから席に着いた。要がどうしたんだよ、って悠太に聞いてる気がして目が離せなくなる。そしたら急に振り向いた悠太と目が合って、咄嗟に逸らした。顔に熱が集まっていって、なにこれ…と教科書で赤くなってるであろう顔を隠す。ちょっとね、と悠太の声が聞こえて、その声が私には嬉しそうに聞こえた。

それから、放課後になるまでさり気なく悠太を避けていた。だって、あんな雰囲気苦手なんだもん。どうしたらいいのか分からなくなる。

夕日に染まる空を教室から眺めていると、ふと名前を呼ばれた。それは避けてしまっていた悠太の声で、ドキっと心臓が跳ねてうるさくなる。なに、って振り向かずに言えば、肩を掴まれて悠太の方を向かされる。あの時みたいに。


「名前のことが好き。昔からずっと」

「で、でも、私…」

「分からないんでしょ?分かるよ、それくらい。何年幼なじみやってると思ってるの」


名前がこういう静かなのが嫌いってのも知ってる。だから今まであえて言わなかったんだよ。悠太はそう言って笑った。捕まれる肩にある手を振りほどこうにもできなくて、うるさいよ心臓、と言ってももっとうるさくなるだけ。言ったらこれから避けられるってのだって分かってた、と悠太は言った。ちょっとだけ寂しそうに。だけどすぐにいつもの表情に戻って言ったんだ。


「俺が、名前に恋ってのを教えるよ」


だから、俺と付き合ってください。そう言って肩から手が離れて、両手を掴まれた。
そんなの、断れるはずなんかなくって頷いた私にとびっきりの優しい笑顔を見せてくれた悠太に、キュウっと胸が締め付けられて体中熱くなって、心臓が破裂しそうだった。


0728
トゥインクルでリクエストありがとうございました!さすがゆうみお姉様です。素敵なチョイスです。お相手は悠太くんにしてもらいました(`・ω・´)ゝ甘くなっている…と思います、はい。トゥインクルは、恋をしらない女の子が恋を知るっていうイメージかな、と思って作りました。歌詞も地味に入ってますが、ほぼイメージです!ぜひぜひ、これからもよろしくお願いします!いつも感想やリクエストをくれたり、きちんと指摘も下さるゆうみお姉様が大好きです(*´∀`*)

thanks!
トゥインクル/Junky様 feat.鏡音リン