thanks | ナノ
「名前」


暑い、と言って屋上に出来た影の中に座り込んで、空を仰ぎながら休んでいるとふと名前を呼ばれた。呼ばれた方向の上を見てみれば、ジュースを持って私を見下ろしているテツくんがいて、そのジュースをぴとりと私の頬にくっつける。それが冷たくて、冷たっ、と咄嗟に口から出たけれどすぐに気持ちよくなった。


「あげます、それ」

「わあ、ありがとう」


蓋を開ければ、プシュ、と炭酸系独特の良い音が鳴る。喉に流し込まれるそれは、とても冷たくておいしい。テツくんも自分のぶんを飲んでいた。おいしいね、とテツくんに言うとそうですねと笑った。二人のときには絶対見せてくれるテツくんの優しい顔。
屋上の扉が開く音と一緒に騒がしい声が聞こえて、影から顔を出してそっちを見てみれば、黄瀬くんや青峰くんなどの一軍のレギュラーメンバーが来ていた。


「あ、名前っち!」

「なんだテツヤもいるじゃないか」

「・・・みんなどうしたんですか」


テツくんはそう言って、みんなを見る。小さな影に私とテツくんだけだったはずが、いつの間にか七人になっていて、ちょっと狭いせいかみんなとの距離が近い。何処に行っても暑いから、それなら風が通る屋上ならまだ涼しいかもしれない・・・という理由で今に至るらしい。だけど、こんなに距離が近いんじゃそんなに涼しくないと思う。そんなこと言えないけどね。


「ん、そのジュースいいな。くれよ」

「これ?別にいいよ」


青峰くんはサンキューと言って私の手からジュースを取ろうとした。その時、テツくんの手が伸びて来て、その手にはテツくんのジュースが握られている。テツくんは、僕のをあげます、と言って青峰くんに差し出していた。青峰くんは、今度はテツくんにお礼を言ってそのジュースを飲んだ。


「じゃあ、名前っちの俺にください!」

「うん、いいよ」


伸ばされる黄瀬くんの手。それをパシリと叩いたのはテツくんで、黄瀬くんも私もみんなが驚いた顔をしていた。どうしたの?とテツくんの顔を見れば、ぐいっと肩をテツくんの方に寄せられて、私がテツくんに寄り掛かるような形になった。


「名前は僕のです」

「テ、テツくん・・・!?」



(わお、黒ちん大胆だねー)(まったく、暑苦しいのだよ)(へえ二人はそんな関係だったのか)(は?お前ら付き合ってんのか?)(え、・・・えぇ!?そ、それ本当っスか!?)
違うよ、と何度も首を振るけど顔が真っ赤なのが隠せてないって言われて、赤司くんは仕舞いには名前もテツヤが好きだったんだから両想いじゃないか、と言われて余計に熱くなった。恥ずかしくて顔を両手で隠していると、名前、とテツくんに呼ばれて手を外された。それから、ちゅっと私の唇とテツくんのそれがくっついた。

0726
イオさんリクエストありがとうございました!イケ黒子です。ガンガンに攻めてる・・・と、思います。暑い+熱い=イチャイチャの発想です(←)楽しんでいただけると光栄です(*´∀`*)ぜひぜひ、これからも当サイトをよろしくお願いします(キリッ)