プラスチック・ブルー | ナノ
黒子は大丈夫だと言ってすぐに起き上がったけれど、血を流してまた倒れてしまった。私に気付いた黒子に、眠る事を促すと目をそっと閉じて、誠凛さんにベンチまで黒子を連れて行ってもらう。そのままベンチに居てもいいと言われて、誠凛の監督さんは私を見てそっと笑って。

「あなた、黒子くんの友達?」
「…中学の時のマネージャーです」
「そう。だから黒子くん、嬉しそうなのね」

嬉しそう?と首を傾げて監督さん…基、相田リコさんを見ると、にこりと笑った。まだ黒子くんと知り合って少ししか立っていないけれど、彼が嬉しそうなのがすぐ分かるわ。とリコさんは言う。
そっと後ろで眠る黒子を見てみるけれど、何も反応があるわけなくて。別に、嫌われてるなんて思った事はなかったけど、他の人からそんな風に言われると少し照れ臭くなって笑みが零れた。
試合開始の笛が鳴り、コートに目を向けると丁度黄瀬と目が合う。心配そうな顔をしていて、きっと後悔している。私もそうだ。どうしていつも、土壇場にならないと思い出せないのだろうか。もっと早く思い出していれば、黄瀬に忠告だって出来たのに。私の、役立たず。

ぐるぐると負の感情が渦巻いて、目眩がし始めた。そんな中で黒子のいない誠凛は海常に点差をつけられてしまう。せめて黒子くんがいてくれたら、と言葉を漏らす相田さんに返事が返ってくる。黒子の声だ。

「行ってきます」

私は、立ち上がった黒子と目があったけれど、立ち上がることも止めることも出来ず、ただただ相田さんが黒子を止めるのを見ていた。けれど、黒子の思いは強くて、そんな黒子を止めるのも気が引けたのか相田さんは承諾をした。

力強い背中を送り出して

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