プラスチック・ブルー | ナノ
第1Qからの休憩で第2Q始まりの合図。どちらも気合いの入りようがさっきとは違った。迫力が実感出来て、ドキドキと自分の心臓も高鳴る。ボックスワンからマンツーへと戻った誠凛の主体。ボールを手にしているのは誠凛5番で、さっそく火神くんへとパスが回った。見所の場面のはずだけど、きっとみんなには変わらないように見えるだろう。黄瀬もきっと同じこと考えてる。火神くんが余所に突いたボールを黄瀬が追いかけようと体の方向を変えた瞬間に、いつの間にか近くに来ていた黒子が例のパスで火神くんへと戻した。それは、本当に一瞬のことで、みんなが驚嘆するほど。
ちらりと黒子と目が合った気がしたけれど、すぐにその視線は消えてしまった。何だろう、なんて考える暇もなく、火神くんのダンクシュートが決まった。

目が離せない状況の中、携帯のバイブがポケットの中で鳴った。確認してみれば、赤司からで。内容は、どうだ?とただ簡潔に打ってあるだけだ。良い勝負だよ、と私も簡潔に打って送信した。

「黒子が…黄瀬のマーク!?」

目を向けたら、向かい合う二人がいて。背中に冷や汗が伝った。ドキドキとひどくうるさく聞こえる私の心音。
黒子が、黄瀬の止めるなんて到底出来るはずがない。誠凛の中でも一番ずば抜けた運動能力を持っているであろう火神くんだってついて行くのが必死なのに。頭をフルに回転させて、思い付いたのただ一つ。
止めるのじゃなくて、獲るんだ。
ぱしり、と黒子の手によって弾かれたボールは誠凛のものへと渡り、難なくシュートされた。
ドキドキと楽しいものへ対しての緊張が、突然とドクリと重たいものへと変わった。嫌なものが頭の中で過ぎる。どうして私は、いつも…。
スリーポイントを決めようとした黄瀬のボールは、火神くんのジャンプで取られた。
ボールを追いかけようとした黄瀬に、咄嗟にダメと大きな声で叫ぼうとしたけど、間に合わずに、思い切り強く振った黄瀬の拳は黒子の頭に当たった。

「レフェリータイム!」
「黒子…っ!」

ドクリドクリと、嫌なものが這い上がってくる。倒れた黒子の元へと、迷いもなく走っていった。私は、本当にバカだ…。

いつだって、手遅れで

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