プラスチック・ブルー | ナノ
やっぱり黄瀬のコピーは凄い正確だし、威力が増して返ってきている。高校に入って変わったということがすぐに分かった。
黒子も負けずにミスディレクションをすることによって、火神という男に回して点を取っている。
少々スピードがキツそうだが、ワクワクとする点数の取り合いに目が離せないでいた。観に来ていた黄瀬のファンは分かるのかな。ちらりと、隣に立つ彼女たちを見ると、目をまん丸にしていて口をポカンと開けている。やっぱりか。予想していたことだし、中学の時から黄瀬に限らず他のメンバーもモテていたから、その様子が分かる。

「誠凛タイムアウトです」

審判の声にベンチに戻っていく両チーム。誠凛の監督さんの判断は正しいと思う。海常は強豪高だけあって体づくりは出来ている。体力を消費しても誠凛よりは大丈夫だろう。
…ただ、誠凛だ。とても疲れていて、第1Qの5分だなんて思えない。さて、これから誠凛はどうするだろうか。そして黄瀬は、黒子とチームメイトだったのだから、きっと弱点を言っているだろう。

「美華っち、見ててね!」

遠くから大きな声を出して手を振る黄瀬に苦笑いして振り返す。本当に、大きな犬みたいなんだから。ちらりと監督さんに締められている黒子と視線が交わって、また苦笑いが零れた。

「タイムアウト終了です!」

ピー、と音が響いて準備をする。誠凛の方は…少し危ない状況と見た。海常は…、良さそうだ。
誠凛の決まった事は、黄瀬中心にガードをするボックスワン。いい感じかもしれないと思ったのも束の間、ボールを持っていた笠松さんがスリーポイントシュートを決める。これは、誠凛の甘い考えのせいだ。強豪高だ。黄瀬がいなかった今までは、このコートに立っている誰かが勝ち進んでいたのだ。黄瀬だけガードを固くしても、点差が離れていくのは時間の問題だろう。

大きく響く笑い声。それは火神くんのもので、フッと過ぎるあの映像がまさに今目の前で繰り広げられている。クスクスと、私も笑みが零れた。

「…コイツだろ!おまえの弱点」

大きな手を頭上に乗せられ嫌そうな顔をする黒子に、ニヒルに笑う火神くん。楽しみで、わくわくドキドキする。第1Q終了の合図。その次の2Qではどうなるのだろうか。

起承転結の承の始まり

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