プラスチック・ブルー | ナノ
任せたから。赤司からのメールを見て、了解と送った。さて、これから海常VS誠凛の試合。監督から預かった情報を新幹線内で目を通す。海常はインターハイには毎回出場する高校だ。PGで有名な笠松さんもいるし、今回は黄瀬が入った。
対する相手高の誠凛は、新設校二年目、ということはバスケ部を立ち上げて一年目にしてインターハイ地区予選まで行った、けれど、エースの木吉さんが足を怪我して入院してしまった為に、都内ベスト4で終わった。けど、今回は黒子が入った。まだ木吉さんは入院中らしいけど、黒子は新しい相棒を見つけたはず。
わくわくするような、ヒヤヒヤするような微妙な感覚を胸に抱えて、海常まで向かった。

***


もう既に試合が始まっているのか、ボールを床につく音が聞こえる。けれど、すぐに音が終わった。代わりに聞こえたのは、バキッという嫌な音。何事だと急いで体育館に入れば、試合は半面だけで行われていた。それだけで嫌な感じを覚えた。

「ゴールぶっこわしやがったぁ!?」

大きな声に驚いて見てみれば、黒子と背の高い男の子が海常側の監督さんらしき人と話しているのが分かる。きっと、背の高い人は黒子の今の相棒なんだろう。予想していた通りの人で笑みが零れた。
海常の部活メンバーの人達が、コートをモップ掛けしていて、全面使うのが分かった。さすが黒子というか…。雰囲気的に、出る予定のなかった黄瀬が準備をしている。監督さん怒ったんだろうなぁ。
きゃーきゃーと騒がれる黄瀬を見て、相変わらずだと思って笑っていれば、ふいに黒子と目が合った。

「え、美華さん…」
「…うそ、美華っち?!」

一気に駆け寄ってくる二人に、苦笑いして、久しぶりと笑ったけれど無視された。なんで此処にいるの、赤司君と一緒じゃないんですか、どっちの応援?。とか、質問責めに合う。早く戻らないと怒られるよと、背中を押してもびくともしない。監督さんの怒りは上昇中だし、黄瀬ファンの女子の目つきは鋭いし。私が迷惑していることに気づかないのだろうか…。

「おい黄瀬!!始めるぞ!」
「黒子もいい加減にしろや、シメるぞ」

足にサポーターを履いている…きっと笠松さんだろう人と、メガネの黒子の先輩だろうという人が怒鳴ると、二人はいそいそと戻った。
ふう、と一安心したのも束の間。周りの女子は、何あの子、とか、むかつく、とかヒソヒソと話し声が聞こえる。最初から疲れたんだけど…。

最初から波乱の予感

0114