短い話 | ナノ
ねぇ、と赤司くんが言ったから、どうしたの?と彼の顔を覗き込む。
私のひざに頭をのせているから、私が赤司くんを見れば影が彼を覆い隠した。撫でた髪は、さらさらとしている赤い髪。

「キス、しよっか」

返事も聞かず、赤司くんの手が私の頭にのびて来て、後頭部を押されれば、柔らかい唇がくっついて。私が屈みこむような形でキスをした。そのキスはなかなか離れなくて、頭がくらくら、ふわふわする。
離れた時には、何も考えられないほどで。ただ分かるのは、優しく笑う赤司くんが私を見てること。きゅうん、と胸の奥が締め付けられるようになる。

「赤司く…」
「違うだろ?」
「…征十郎くん」

赤司くんは、甘えたがりの時には名前で呼ばせたがる。そんな赤司くんが可愛くて、私はつい彼の頭を撫でた。
なに、と私を見上げながら、下に伸びる私の髪をいじる。ああ、もう好きすぎて、溢れちゃいそうなこの気持ち。

「大好き」
「知ってるよ」

こんな会話も大好き。私ってば、赤司くんに溺れてるのかな。
ふふ、と笑う私に赤司くんも笑う。赤司くんは?そう聞けば、髪の毛を下に引っ張られて、痛いよと言う前に赤司くんの唇によって塞がれた。



あなたといれば、夢心地


0616
最近、甘いお話と片思いのお話ばかり思い浮かぶこの頃…。