短い話 | ナノ
いつか、高杉が言っていたことを思い出した。あれは、どういう意味だったんだろう。
ぼんやりと、しとしと降る雨を見ている私。ガラリと開いた教室のドアに立っていたのは、さっき考えていた男。

「大遅刻。もう放課後だよ」
「別に学校に用があったわけじゃねえ」

ドカリと私の隣の席に座って机の上に足をのせる高杉。あーあ、山崎かわいそうに。
高杉から外へと視線を戻すと、なあと声を上げた。何。高杉を見ず答えれば、私の机を蹴る。

「まだあの男と会ってんのか」
「…会ってるよ。高杉には関係ないでしょ」
「男なんざ他にもいるだろうが」

他…なんて今の私には考えられないの。
鳴った携帯を見て、教室を出る準備をする。口出しはするくせに、止めないんだ。別に止めてほしいわけじゃないけど。
じゃあね。高杉の横を通り過ぎ教室から出てドアを閉めれば、中からガタンと机が倒れるような音が響いた。


終わりのページから
(だって結末は分かる方がいいでしょう?)


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