短い話 | ナノ
中学の時から高校に入っても、いつの間にか私の隣にいるのは黒子くんだった。影が薄いから気付かなかった、っていうのも少しあるのかもしれないけど、ちょっと違った。
だって、黒子くんが隣にいると、心が温かくなるみたいで…落ち着ける場所っていうのかな?そんな感じだった。
また、いつものように二人でいると、突然黒子くんは私の顔を見て好きですと言った。

「…え?」
「苗字さんが好きです」

あまりにも突然すぎて、言葉が出てこない。まるで、そんな感じだった。
黒子くんはポカンとしている私を置いて、一人で何処かに言った。す、す…好きって、私を?黒子くんが?……えええっ、う、嘘だぁ…。だって、そんなこと、あるわけ…ない、のに。そう思うのに、心臓はドキドキバクバクうるさい。キュウ、って胃の下あたりが締め付けられて、もっともっと心臓の音がうるさくなった。顔まで熱くなった。黒子くんの目、すごくキレイだったな…。ぼんやりとそんな事を考えていた。

その日から、黒子くんとあんまり会わなくなった。っていうか、会えなくなった。
きっと黒子くんは私と会わないようにしてるのかもしれないし、私もそうだ。どんな顔して会えばいいのか分からない。だけど、いつも頭の中に出てくるのは黒子くんばかり。

それを、マジバでたまたま会った黄瀬くんに話したら、パチパチと何度か瞬きをした。

「それって、名前っちも黒子っちが好きってことじゃないっスか?」
「…え?私も、黒子くん…を?」
「きっとそうっスよ!いやあ、黒子っちと名前っちがくっつくなんて最高っスね」

まるで自分のことのように喜ぶ黄瀬くん。本当に黒子くんのことを大切に思ってるんだな、なんて思った。
それからまた考えた。そっか、私は黒子くんが好きなのか。だから、あんなにドキドキしたのかな…。

「あ、ほら、黒子っちっスよ!」
「…!」
「黒子っち、喜ぶっス!」

黄瀬くんは、トンと私を立ち上がらせて、会計をしている黒子くんのところまで背中を押した。いつも無表情の黒子くんが私を見た途端、少しだけ目を見開いた。


甘いバニラと恋模様

慌てて後ろを向くと、黄瀬くんはいつの間にか席に戻っていてヒラヒラと手を振っていた。よ、喜ぶって…、私も好きって言うの?そ、そんなの、恥ずかしい…。ぎゅう、と服の裾を掴んだまま下を向いていた。ずっと黙っていた黒子くんは、一緒に食べませんか、と言ったから、うん…と頷くので精一杯だった。

(…どうして黄瀬くんもいるんですか)(名前っちのお手伝いっスよ)(何の手伝いですか?)(それは名前っちに聞いてください)(…えと、あの…、ね)

(好き、です…っ)

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黒バスが面白すぎる件について。黒子が可愛すぎる。黄瀬くんかっこよすぎる。