短い話 | ナノ
いつものメンバーに今日遊ぼうと誘われた。断った。ブーイングの嵐。

「だって、今日はケンカの王子さまを見る日だから」

そう言うと、でたよ日向龍也。と笑って、なら仕方ないね、と許してもらえた。放課後になれば、友達に手を振ってちょっぴりルンルン気分でステップを踏みながら帰る。鞄から携帯音楽プレイヤーを取り出して、音楽プレイヤーに張ったケン王シールを眺めて、ランキングの1位にあるケン王のテーマソングを再生した。

やっぱり日向龍也の声ってステキだなあ。

しみじみとしながら靴を履いて門を抜けようとした時、左耳にしていたイヤホンが外されて右耳からしか音が聞こえなくなった。誰が外したの、と少しイラついて隣を見ると来栖が立っていた。

「お前、ケン王見てんのか!?」
「……はい?」
「クラスで話してたろ?俺もケン王好きなんだよ」

かっこいいよなあ、と空を見上げて拳を振り上げた来栖。どういう状況?とりあえず、もう一度イヤホンをしてスルーしてみることにした。
けど、腕を掴まれて帰れなくなった。

「俺ん家で一緒に見ようぜ!」
「え、ちょっと、」
「おーい、薫!帰るぞー」

ずんずん、と私の腕を離さずもう一人の来栖のもとへ歩いて行く来栖。なんか、ややこしい。


強制連行という名のお誘い

そのまま、本当に来栖の家に来た。来栖弟は、翔ちゃんケン王が好きな人クラスにいないって言ってたから見つかって嬉しかったんだと思う、と言って私を家の中に招き入れた。ケン王を見終わると、来栖はすごく興奮気味で話を始める。ちょっと突然すぎたけど、楽しかったし…。まあ、いいか。


0312
翔ちゃんアイ ラブ ユー!翔ちゃんは俺のよm(ry) 翔ちゃんって男女関係なしに友達が多いらしい(ゲームで言ってた)から、こんな風にあまり喋ったことない子でも馴れ馴れしいのかなって。うん。