短い話 | ナノ
放課後の教室に、ゆうたんと春ちゃんと要っちの部活が終わるのを、ゆっきーと一緒にのんびりと待っていた。夕日が沈んで、あと少しで部活が終わる。何も喋るわけでもなく、ぼんやりとしていると、ガラリと扉が開いた。

「…あれ、どうしているの?」

入ってきたのは、苗字さん。俺の心臓がどくりと反応した。
ゆっきーはアニメージャから顔をあげず、俺が苗字さんに理由を説明した。それから、苗字さんの理由を聞くと、集めたプリントを提出しなくちゃね、と笑ってた。

「じゃあね」
「さよなら」
「あ、バイバイ苗字さんっ!」

手を振るとニコリと笑って、手を振りかえしてくれた苗字さんは、プリントの束を持って教室から出て行った。はあー、と一息する俺。そんな俺に気付いたのか、ゆっきーが好きなの、と聞いてきた戸惑った。

「え、なに言ってんのさ!ゆっきーってば」
「授業中とかずっと苗字さんのこと見てるよね」

え、なにこれ。ゆっきー、いつから知ってたの?え、俺ってそんなバレバレ?ていうことは苗字さんも知ってる…?そ、それってすっごい恥ずかしいじゃん!

「苗字さんや悠太たちは知らないよ」

俺の心境が分かったのかゆっきーはまるで、俺の心の問いに返事するように淡々と言った。そっかあ、と一安心。それからまた、好きなの、と聞かれて戸惑ったけど、どうせ違うって言ってもバレてるだろうし…。

「…うん、好きだよ。苗字さんのこと、」

ガラリ、と再び扉が開いて、入ってきたのは苗字さ…ん?え、うそうそうそ。聞かれてた?もしかして、今の聞かれてた?
隣のゆっきーは、あーあと呟いていた。俺の顔は熱くなって、急に恥ずかしくなってきた。

「え、と、鞄忘れたから、うん。あの、じゃ、じゃあね!」
「ちょ、苗字さん待って!」

苗字さんは振り返らず、そのまま走って消えた。
うそだろ。俺、明日からどうすればいいわけ!?ガクン、と項垂れている俺。勝手に告って、勝手に振られるとか…、最悪だろ。


放課後ラブアフェア

次に開いて入ってきたのはゆうたんたちで、みんなで下駄箱に向かった。はああ、といつまでも項垂れている俺を心配してくれたのは春ちゃんだけ。靴を取り出そうとした時、ゆっきーが俺をトントンと叩いて、指差す方向を見ると苗字さんが立っていた。ゆっきーに行って来たらと言われて、優しく押されるがまま傍に寄って行くと、私も好きだよ、と顔を赤くして帰って行った。


0310
お題:パッツン少女の初恋さま
ラブアフェアは、恋愛事情という意味らしいです。千鶴書くの遅くなってごめんよ!どういうのにするか迷った。