What's happening?(いまどうしてる?)
お前なんか大っ嫌いだ、とつぶやいた。俺も大っ嫌いだよ、と返ってきた。嘘つき、とつぶやいた。そっちこそ、と返ってきた。
世の中はどんどん便利になる。直接顔を見せなくても話せるようになって、もうどれくらい経ったのかは生憎と覚えていないが、距離が距離の意味を成さないことに抵抗がなくなる程度にはそういったサービスは生活に浸透してきた。日本に勧められて始めたこの『つぶやく』という行為もその一つで、会わなくても、電話をしなくても、その人が今何をしているのか、時には何を考えているかすらも分かってしまうというものだった。
ああ、でもこれじゃあ世の中便利になったのか不便になったのかわかりゃしねぇ。
(会いたい)
からんと音を立てた氷が、じりじり焼け付いた胸に沁みた。じくじく治まらない痛みは、火傷に似ている。
伝えたいことがあるのなら、今すぐにでも声を届ける方法はあるのに、意地っ張りな手はどうしても皮肉と罵声しか生み出してはくれない。
言葉に出来ない本音は、いつだって顔を見ることで解ってきたのに。
(会いたい)
会いたい、と繰り返し落とす。会いたい人がそこにいないから、苦しくて、切ない。
今すぐ会って抱きしめて欲しいなんて、そんなこと。
「言える、わけねぇだろ」
はやく会いに来いばか。
落ちた言葉を、拾うものは、誰も、いない。