それを口に出してしまえば、酷く貧相で陳腐な響きにしかならない気がして、イギリスはぎゅっと唇を噛んだ。
イギリスが言ったのだ。フランスに、言ったのだ。

「フランス」

お前は。

「割と簡単に、誰にだって依存する」

沢山の愛を振り撒いてる癖に、お前は愛に、とても貪欲だ。
いつも、どんな時でも、愛されたいのかと聞くのがイギリスの常であった。
時にはフランスの胸で、背中で。例えばその身を焦がすような、自分が与えただけの愛を、いや、それよりもっと深い愛を、お前は与えて欲しいのかと問う。
定期的に愛を享受出来るなら、結局のところ誰でもいいのだろう?なんて、揶揄を込めて。
ああ、それなのに。

「……あい、たい」

無意識に唇から溢れ出た言葉はもう、止めようとしても止まる気配を見せない。
会いたい。寂しい。切ない。苦しい。

表面張力でぎりぎり保っていた色んな感情が一筋でも零れたら、終わり。イギリスにはそれを、抑える力なんてないのだから。

「…フラン」

欲しい。他の誰でもない、お前のあの、押し付けがましい愛が。
すっと手を伸ばしたイギリスは、ふるり睫毛を震わせた。この思いはきっと、フランスがいつだって感じていたものなのだと、何となくわかる。
愛されたい。他の誰でもない。お前に。
イギリスは今までの自分を恥じた。
だって。

こうしてフランスを求めて伸ばす手の、どこが依存ではないと言うのだ。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -