「ん、」

しつこいんだよ。
威嚇の意味で唇を噛むと、腰をゆるり押し付けられて、イギリスは眉尻を下げた。フランスのするキスはイギリスのものとは違うから、イギリスはいつもこのキスに戸惑ってしまう。
ぴんと張った理性を、ゆっくりゆっくり溶かしていく、そんなキス。自分では到底手の届かないところにある、とても熱い何かを少しずつ表に出そうとする、そんな。
初めてフランスとキスした時から感じている情動的な熱は、決して惚れた弱みとかそんなものではない。

おふざけでフランスとキスをした時、フランスの唇が火傷しそうなくらい熱くて、イギリスは大層驚いた。
だって、そんなに熱いなんて、イギリスは思ってもみなかった。いつの時代もフランスは、なにかに熱くなるような奴ではなかったから。フランスの中にはこんなに熱くなるような情熱も、渦巻く感情も、ないものだと思っていた。
むかつく。その時イギリスは言って、フランスの唇に噛み付いてやったのだが。

「ん、ふっ」

ああ立派な中毒だ。なくなればきっと、生きてはいけない。
それを悔しいと思う気持ちは、もうない。
キスが一番上手い国だとか、もうそんなのはどうでもいい。
ただ単にイギリスは、このキスが好きだから。
イギリスは熱くなった腰をするり押し付けて、甘い舌を啜ったのだった。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -