「おはよう」

朝ご飯出来てるよとフランスがにっこり笑うから、イギリスはぼんやりとした頭でこくり頷いた。あまりフランスより後に起きることがないイギリスは、まだ半分夢の中で寝ぼけ眼を擦る。
イギリスは寝起きが悪い。二人で夜を共にした翌日、フランスより先に起きるのがイギリスの常であるが、ベッドを出るのはほとんどフランスより後である。それだけまどろみの時間が長いということで、フランスが朝食を作り終わった頃にやっとイギリスは完全に覚醒する。
しかし今朝はそうもいかない。フランスよりも後に起きてしまったイギリスは、いまだ判然としない頭で食卓に向かった。鈍く痛む腰にいつもなら文句を言うはずが、欠伸を一つ零すだけで礼儀正しいはずの紳士が朝の挨拶すらしない。
たまにあるその光景にフランスは微笑みながら、温めた朝食をイギリスの前に置いた。

「疲れてたの?」

ぐっすりだったでしょ。
フランスが言うとイギリスはふるり首を振る。べつに。
寝起きの所為だけではない掠れた声で、イギリスが素っ気なくそう返すから、フランスはなんだか安心したような顔で肩を竦めた。

「なら、やっぱり昨日ちょっと激しかったんだ」

くすくすと笑うフランスに、イギリスはちょっとじゃねぇよばか、と小さく呟いて、フランスの顔を見つめる。
やけにすっきりした顔をしているのは、イギリスの中に色んなものを吐き出したからだろうか。愚痴とか、口で言うのも憚られるものとか。憑き物が落ちたみたいだ、とイギリスはいやに嬉しくなって、フランスが並べた朝食にナイフを入れた。
疲れてたのは何より、フランスの方なのだ。



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