やけに中毒性が高い、言うなれば麻薬みたいなもんだ。

おかしな話もあったものだ、と、フランスは静かに曇り空を見上げた。
今にも泣き出しそうな空は、多分今のフランスの心情を映したものだ。しかして雨の匂いを感じることにより明確に思い出す存在が、余計にフランスの心を曇らせる。
ああ、なんてこった。フランスは呟いた。

「こんなに、……ハマっちまうなんて」

本当におかしな話だ。もう一度確認するようにフランスは言って、その整然とした顔を歪める。なんで、どうして。問うたって、そんな答え、どこにもありはしない。
参ったな。言ったフランスは至極真剣な顔で空を睨んだ。

「……会いたい」

会いたいよ。フランスは額に手をやって、目を閉じる。
会って話がしたかった。まずい料理をからかって、喧嘩して、キスをして、何より、抱き合いたかった。
凍りつきそうなその手を温めて、照れ隠しに一発殴られて。最後には、笑い合いたかった。
それなのに。

「遠いよ、」

手を伸ばしても届かない、それは確かフランスの隣に、すぐ近くにあったはずなのに。
今はその距離が、たまらなくもどかしかった。

「…アート」

あいたいあいたいあいしたい。
ねぇ、アート。

「お前がいないと、お兄さん」

「碌に息も出来ない、よ」



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