ぞわりと身体中の産毛が総立ちするような感覚と共に襲ってくる、確かな快感。じわり焦げ付きそうな舌から生まれる熱がどうしようもなくもどかしくて、俺はフランシスの背中に縋り付いた。

「っく、…ぁ、っ」

制止の意味も込めて潜り込んできた舌を軽く噛んでやると、にんまりと上がる口元、悪びれない動き。
悔しくて自らも舌を絡めた。
どうせ攻撃の手を緩められないなら、それ以上の力で迎え撃とうと。
流石にそれは言い訳臭いかもしれないけど、そういう気持ちがあったのも確か。
くちり、耳を塞ぎたくなるような水音が響いて、フランシスの手が俺の腰を撫でた。
途端疼きだす身体に、従順なもんだと心の中で諦めの溜め息を零す。

「……坊ちゃん」

えろすぎ。
唇を離して言ったフランシスの頬がいくらか紅潮していたから、何となく満足して俺はにやりと口端を上げた。

「どっちが、」

言ってべろり唇を舐め上げれば、噛み付くような粗暴なキスが降ってくる。
予想済みのその接吻を受け止めてやると、こんのエロ大使、と、ある種のスラングが飛んできた。

「るせーよ、ばか」

誰の所為だと思ってんだ。
挑発するようににんまり笑って言ってやれば、すぐに頭を抱えるクソ髭。ざまあない。
ねぇ、坊ちゃんさ。

「…それ、わざとなんだよね?」

ぐいり、突然腰を引き寄せられて、よろけたところを抱き留められた。
耳元に熱い吐息が吹き込まれて、身体がじんと痺れる。ああこれは、流されるパターンだ。
やばい、と頭が警鐘を鳴らすけど、がっちりとホールドされた腰は、びくともしない。

「愛の国を煽ったこと、たっぷり後悔させてあげるよ」



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