俺と付き合うと、なんと!
世界でたった一人の俺と付き合うことが出来るんだぜ?


それが意識的なのかどうかは知らないが、フランスは女性をナンパする時、必ず右側を歩く。それがイギリスにとっては不思議で仕方ないのだが(イギリスと歩く時フランスはいつも左側を歩く)、それはどうやらフランスにとって呼吸するより自然に出る仕草らしい。

(…また、左だ)

思ってイギリスは、左側にある作り込まれた顔を見遣った。何でもないことのように見えて、どこか徹底しているその"法則"が何を示しているのか、イギリスには分からない。単純かもしれないが、分からないことは嫌いだ。神経質なイギリスは、特に。

「なぁ、フランス」

何だってそんな面倒臭いことやってんだ?
自分で入れた紅茶を啜りながら、イギリスは問うた。調べてみて分からないことは、直接聞くのが一番だ。そこにプライドや意地を持ち込むと、ややこしいことになりかねない。元来の性格が災いして、そういう機会を幾度となく逃したイギリスが、ここ数百年で学んだ処世術だ。
そんなイギリスに、フランスは「あーこれね」と苦笑した。

「お兄さんも色々頑張ってるんだよ」
「は?」

意味が分からない、と一蹴したイギリスの頭を撫でながら、フランスはその頬に刻まれた笑みを深くする。分からなくて良いよ、坊ちゃんは。言ったフランスに、イギリスは不満げな顔をした。

「教えろよ」

フランシス、と名前を呼んだイギリスの膨れた顔をフランスはつつく。何だよ坊ちゃん拗ねるなよ。にやけた顔を隠そうともせずにフランスが囁くからイギリスは「拗ねてねぇよばかぁ!」と言って赤面してしまう。

「お兄さんはただ、坊ちゃんにずっと好いて貰いたいだけだからさ」

深いこと、考えなくていーよ。
そう言って落ちてきた唇。イギリスは2秒だけフランスを見つめて、その甘い唇を享受した。



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仏兄ちゃんがイギリスの左側を歩くのは主導権を握りたい&好意的に見られたいから。右側を歩くのは警戒心をなくさせる&下手に出てナンパを成功させたいから。冒頭の台詞は(多分)一番効果的な告白。


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