『
今日誕生日なんだろ?
たまたま覚えてたから、祝いの言葉あげてやるよ。感謝しろよバーカ
…おめでと_
』
ここまで携帯のメール画面に文字を打ち込み、俺はなんて素直じゃない文なんだろう…と思いメールの文章を消す。
本当は名前の誕生日はたまたま知ってるんじゃない。
好きな子の誕生日くらい教えてもらった日からバッチリ覚えている。
どっちかていうと口喧嘩の多い俺と名前は犬猿の仲だ。
「あーくそっ…。もうすぐで名前の誕生日になっちまうじゃねーか……」
只今の時間、23時45分。
後10分後には日付が変わり名前の誕生日になる。
何度も打っては消してを繰り返しながら悩む。
ふと時計を見たら時間は0時13分だった。
「やべっ!」
思わず焦ってしまい、手元を狂わせて送信ボタンを押してしまう。
「あああああああ!!」
「隆也ー!あんたうるさいわよー!何時だと思ってるの」
ドア越しからお袋が俺に注意する。
「な、何でもねぇよ………もう寝るからほっとけ!」
「…何怒ってるのよ?……もう、早く寝なさいよねー」
ああどうしよう送ってしまった
一番悪い文章を送ってしまった
ああどうしよう送ってしまった
なんで、よりによってあんな文章を!
開いて、閉じる
もう一度開いて、閉じる
「はあ…来るはず、ないよねえー」
只今の時刻、0時3分。
私は携帯を開いたり閉じたりの作業を繰り返している。
「(…阿部からの連絡…来るはずないよね……何期待してるんだろう私)」
はぁ、と短い溜め息をはいて枕に顔を埋める。
♪ユガッタメール!
「!メールだ!もしかして阿部なんじゃ、」
変な着信音をスルーして携帯を確認する。ディスプレイには友達のあゆみの名前。
『誕生日おめでとーう!
今お金ないからすぐにはあげれないけどちゃんとプレゼント買うねー』
あゆみか、なんて思いながらも文章に苦笑いをしながら返事を書いてあゆみに送る。
♪ユガッタメール!
今度は友達のゆーちゃんからだ。
♪ユガッタメール!
♪ユガッタメール!
♪ユガッタメール!
次から次へと友達からのお祝いメールがくる。
嬉しいなぁと思う反面阿部からのメールがないのがちょっと悲しい。
仕方ないのかなー私と阿部は犬猿の仲だしな……
時計を見ると時間は0時12分。
「……もう寝よう」
諦めて布団に潜りこもうとしたら、またメールがきた。
誰だろ?と思いディスプレイを見ると阿部隆也の文字。
え、嘘まさか本当に阿部?
ドッキリじゃなくて本当に阿部?
私はドキドキしながら阿部からのメールを見た
『
誕生日おめでとう。
それと、いつもお前につっかかってごめん。
別に名字が嫌いだからじゃないぞ?
その…できれば俺はお前と仲良くしたい
俺ずっと前から名字のこと、
』
Happy Birthday
それから口喧嘩はへって、お互い真っ赤な顔で手を繋ぎながら下校をする名字さんと阿部くんを見るのはもう少し先の話。
――――――――――――――
ゆー子ちゃん誕生日おめでとううううう!!!
初阿部だったけど、明らかに偽物だよねこれ。しかも実は隠れてヒロインのこと名前で呼ぶとかきもいよねこれ。キモベだよねこれェェェェェ!!!
ゆー子ちゃんごめん誕生日祝ってるのか分からん夢になってしまって\(^O^)/
ちなみにユガッタメール!はスケダンネタです(笑)