なんで。なんでなんでなんでなんで
なんで、静雄がいるの?
「……静雄」
「よお…………その…元気か?」
「…………うん元気だよ私は大丈夫だから帰ってくれる?」
「!……お前なせっかく来てやった」「帰って」「……は?」
「せっかくスタートした一人暮らなのに、さっそく静雄が遊びに来ちゃ一人暮らしの意味ないよ。だから帰って」
ヘタクソな言い訳だな、と思う。
静雄は少しぽかんとしてたけどすぐに元に戻り「何かあったのか?」と聞いてきた。
「別に何もないよ」
「けどよ、お前一人暮らしする1ヶ月前くらいからずっと俺の事避けてんじゃねぇか。何か悩みあんならいつでも聞いてやるぞ?」
「……別に何もないよ。それに私はいつまでも静雄に心配される歳じゃないよ。ほら今日もお仕事あるでしょ?早く帰った方がいいと思うよ。トムさん困らせちゃ駄目でしょ?」
段々、静雄の顔が悲しみで歪んでいく。
ごめんね静雄
本当は静雄が来てくれて嬉しいよ。
凄く凄く嬉しい。
本当は、こんな事言いたくないよ
静雄、静雄、静雄、だいすきだよ
でもね私は静雄に恋しちゃだめなんだ
静雄を1人の男性として意識しちゃだめなんだ
臨也さんに言われなきゃ気づかなかった静雄に対しての恋心。
こんな感情を持ったままじゃ静雄とは一緒にはいれないよ。
「ほら!ぼんやりしないの!しっかりしてよ静雄」
「………わかった。今日はとりあえずもう帰る」
「……うん」
「でも、何かあったら連絡しろ。俺はいつでもお前を助けるからよ」
わしゃわしゃ
静雄が私の頭を撫でる。
やめてよばか。私はそれだけでもドキドキするんだよ。
「……またね、兄さん」
「おう、じゃあな」
恋しちゃだめなんだ
(兄としてじゃなく1人の男性として好きだと気づかなかったら、私は今でも静雄と一緒に暮らしてたのかな)(静雄、好きになってごめんね大好きだよ)