それは僕がまだ僕だった日
演君が誰か好きな人がいることは知っていた
それでも僕は演君が好きだったんだ。
浮気されても……好きだったんだ
けどそれが
「好きだ奏」
僕の
「え?」
実の弟だとは思ってもみなかったんだ
「誰よりも奏が好きなんだ」
甘く優しく
「ほんとに……?」
そしてあつく囁く“演君”の声……
「あぁ」
ふわりと可愛く微笑む僕の“弟”
「【僕】も……好きだよ」
あぁ、“本宮君”と“奏”の周りには色鮮やかに彩るのに僕の周りには色のない世界
……一瞬世界が真っ黒に染まった
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