気付かぬ心

「部長が……怪我?」

親から知らされた事実。
俺が事故にあったこの数ヶ月間。
空白の数ヶ月
詳しい事は皆に聞きなさいと親が言った

今のこの状態でどうやってみんなに会えば…
そもそも夜なのに部長は居るのか
なんて考える暇もなく無我夢中で部長のいるバスケ部体育館に行く
学校の体育館にいる根拠はないのに何故か俺は確信を持って動き出した。

当たりはもう夜で人通りが少ない
「あぁ、そうか今は土曜日か…」
急ぎながらも関係ないことを考えてしまう
だから俺は、制服もユニフォームも動きやすい運動服も着ず私服なのか。
……だめだ最悪な事態なんか考えたくないっ
上手く動かない足を懸命に動かしながら目的地のところまで急ぐ


「部長!!!」
バンっと大きな音を立て体育館のドアを開けるとやはり部長がいた。
他の人は誰もいなく部長がただ1人ぽつんと立っている

「壮一」
穏やかな声のバリトンボイス。
いつも彼の隣は暖かく寄り添いたくなるような彼
……あぁ。さしぶりだこの感覚

「っ、部長怪我…って?」
だめだ。この空気に流されたら今度こそ俺は俺じゃなくなる。前は【バスケが好き】という感情の方が勝ち考えたくなかった真実


けど……今はその自制がない

「あぁ、少々オーバーワークしてしまってな、腕を少しやってしまったのだ」
見ると部長の右腕が赤く腫れていた

「何故貴方のような人がオーバーワークを?」
確かに部長は周りにも厳しいが自分にも厳しい。
が、それだけでオーバーワークなんてしない
自己管理もトレーニングの一貫
これは部長自ら言った言葉だからだ


「お前」

「え?」
的外れ回答。
何故オーバーワークをした理由が俺?

「お前が居なくなるかもしれない、その怪我のせいで消えてしまうかもしれないと思うといてもたってもいられなかった。今すぐにお前の拒否なんか聞かないでお前を抱きしめたいと思ってしまう。キスをして、甘やかして、そばにいて。」

だから考えないようにトレーニングをしていたらオーバーワークになった。と、












……。

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